本の処分計画。

例によって例の如く、一定数以上蓄積されてきたのでそろそろ大幅処分しようと選別中。
今回は、昔お気に入りだったからと保管していた作品も処分しようかなーと。いや、今でも読み返す作品ならともかく、ただの自己満足で手元に置いておいて、結果的に死蔵しては本が勿体ないし。
……まぁ、そうは思っても実際にはなかなか踏み切れないのでしょうけど。とりあえず、もう一つ保留用の箱を準備しておこう。

『七姫物語 第五章 東和の模様』[高野和/電撃文庫]

 先王の隠し子という巫女姫を擁する七都市が並び立つ地、東和。七番目の姫として擁立された少女・空澄(カラスミ)を中心に移りゆく時間や世界を描いた物語、第5巻。

 独特のゆるりとした雰囲気はそのままでしたが、その実ものすごくいろんな事が堰を切ったように動いたんじゃなかろうかという気が。一宮と二宮の間で本格的に戦火が交えられたり、そこに中原から亡命してきた一団が大きく関わってきたり、中央の争いを横目に四都市同盟の締結があったり、そして意外な人が戻ってきたり。さまざまな流れを受けて、最終的に東和の地にはこれまでとは異なる勢力図が形作られることになりましたが。時代の流れは、このまま大勢力……一宮か二宮か、それとも彼女たちを担ぐ人々の望むように推移していくのか。七宮を担ぐ二人組がまだまだひっかきまわしていくのか。続きがなんとも気になるところ。
 登場人物では、一宮・黒曜と七宮・空澄についてはこれまでと大きく印象が変わることはありませんでしたが、それ以外の宮姫たちは結構印象が変わったような。三宮・常盤はなんだかんだ言っても面倒見の良いしっかりもののお姉さんという感じだし、五宮・浅黄と六宮・萌葱は案外しっかりと現実を見てできるなりに動こうとしているんだなーと、それぞれに好印象。二宮・翡翠は、描写の端々からまぁ悪い娘さんじゃないんだろうなぁとは思いますが……でもやっぱり苦手なタイプではある。つーか、彼女個人がというより「真都同盟」が苦手なんだろうなぁとぼんやりと思った。そして、期間限定とはいえ請われてかつての場所に戻った彼女の描写は、挿絵の微笑みと合わせて胸に沁みました。

 さて。そろそろ東和の騒乱も終わりが近づいてきたような雰囲気ですが、箱庭での争いに幕が引かれるその時に、空澄をはじめとする宮姫や彼女らとともに時を過ごしている多くの人々の前にはどのような世界が姿を現すことになるのか。あれこれ想像しながら、続編をのんびりと待ちたいと思います。

作品名 : 七姫物語 第五章 東和の模様
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著者名 : 高野和
出版社 : 電撃文庫(メディアワークス)
ISBN  : 978-4-04-867018-0
発行日 : 2008/4/10

4月2週目の購入メモ。

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『〈本の姫〉は謳う 2』[多崎礼/中央公論新社・C☆NOVELS FANTASIA]

 全4巻予定の「〈本の姫〉は謳う」、第2巻。 ……どうでもいいけど、全4巻既に書きあがっているということだったので、もうちょっとさくさく刊行されるかと思っていたのですが、案外間が空きましたね……。

 それはさておき、今回も世界各地に散らばる力ある文字(スペル)を回収している少年アンガスとその同行者たちの繰り広げる「現在」の冒険譚と、かつての文明が潰えた「滅日」に至るまでをある天使の青年を中心に描いていると思しき「過去」の悲劇が並行して語られていきます。一読した感想としては、「現在」「過去」の両方とも、徐々に盛り上がってきたなーという感じ。それぞれでも十分に楽しめたのですが、二つの話の繋がりも次第に浮かび上がってきて、全体的な流れとしてもなかなか興味深いものがありました。
 「現代」パートでは、アンガスがかつて捨てた故郷で起きた、スペル回収に絡む一連の出来事が印象的。アンガスの想像以上に重い過去のこと、そして故郷からの再びの旅立ち(あるいは決別)の場面には言いようのないほど苦いものが……。そちらが辛かっただけに、彼を助け、支えてくれる仲間が今は側にいるという事実がより嬉しく感じられたような気がします。しかし、そこを過ぎてからの展開がどうも駆け足になったように感じられて、それはちょっと残念だったかな。まぁ、あの辺りまであんまりじっくり書いてたら全4巻で収まりがつかないとは思いますが。
 もう一つの「過去」パートは、「楽園」を脱した「俺」が地上で「アザゼル」という名を得てそこでの生活に順応していく様や一人の女性と恋がとても良かった。どう考えても先に悲劇が待ち受けていそうなのが何とも切ないですが……それでも、彼らにも何とか幸せになってほしいなぁ。天使との絡みでは、レミエルとミカエルとの別れは泣けました。そして、アザゼルはガブリエルとはいつか再会できるかも気になるところ。

 さて、それぞれの物語が極悪なヒキとまでは言わないけれど気になるところで終ってしまいましたが、この先いったいどんな展開が待っているのか。3巻の発売が楽しみです。

作品名 : 〈本の姫〉は謳う 2
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著者名 : 多崎礼
出版社 : C☆NOVELS FANTASIA(中央公論新社)
ISBN  : 978-4-12-501024-3
発行日 : 2008/3