『わたしのお人形 怪奇短篇集』[瀬川貴次/集英社オレンジ文庫]

いかにもホラーっぽい表紙が目を引く、「ばけもの好む中将」シリーズの瀬川貴次氏の怪奇・ホラー系短編集。別名義含めた雑誌掲載作4編に書き下ろし3編を加えた計7編収録。

瀬川さんの短編集といえば、別名義(瀬川ことび)名義で出されていた作品が印象に残っていたので今回もそういう感じの作品集を想像していたのですが、ちょっと思っていたのとは違うテイストでした。別名義短編集は真面目に考えるとこわいシチュエーションでも不思議とユーモラスだったり、なんだかんだあってもラストは意外と後味悪くなかったりだったんですが、今回収録されている作品は、なんか微妙に気持ちの悪さが残る感じがありました。いや、ホラー・怪奇物としてはそれが普通だし、内容は悪くなかったんだけど。
気に入ったのは、やっぱりことび名義作品集に雰囲気が近かった「廃団地探検隊」と「私のお人形」「私のお人形 その後」かな。「私のお人形」読了後、表紙がほのぼの記念撮影に見えてくるのはきっと仕様(笑)

作品名 : わたしのお人形 怪奇短篇集
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著者名 : 瀬川貴次
出版社 : 集英社オレンジ文庫(集英社)
ISBN  : 978-4-08-680331-1
発行日 : 2020/7/22

「謳う芝浜」@ほとり企画を配信観劇した話。

新型コロナの影響で各種イベントが自粛され、劇場も閉まって早数ヶ月。その間、過去公演の配信や無観客上演等、様々な方法で供給があったおかげでSTAY HOME期間もなんとかかんとか(精神的に)生き延びていました。そんな中、たまたま何かの演劇系情報で見かけたこちらの企画。「落語ベースの新作ミュージカル? 事前にお茶とお菓子を送ってくれる??? なんかよくわからないけど面白そう!」と、勢いで初日をぽちっと申し込み。以下、難しいことは何も考えてない観劇感想です。
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「好きラノ2020年上期」に投票してみる。

いちせさん主宰の「好きラノ2020年上期」、参加させていただきます。

『茉莉花官吏伝 八 三司の奴は詩をうたう』(石田リンネ/ビーズログ文庫)
【20上ラノベ投票/9784047357808】
『新・霧の日にはラノンが視える』(縞田理理/新書館ウィングス文庫)
【20上ラノベ投票/9784403542183】
『有閑貴族エリオットの幽雅な事件簿』(栗原ちひろ/集英社オレンジ文庫)
【20上ラノベ投票/9784086803175】
『ツギネ江戸奇譚 ―藪のせがれと錠前屋』(佐倉ユミ/集英社オレンジ文庫)
【20上ラノベ投票/9784086803168】
『エリスの聖杯 2』(常磐くじら/GAノベル)
【20上ラノベ投票/9784815605612】
『巴里マカロンの謎』(米澤穂信/創元推理文庫)
【20上ラノベ投票/9784488451110】
『薬屋のひとりごと 9』(日向夏/ヒーロー文庫)
【20上ラノベ投票/9784074424207】
『腐男子先生!!!!! 3』(瀧ことは/ビーズログ文庫アリス)
【20上ラノベ投票/9784047360440】

あとで書き足すかもしれませんが、忘れないようにひとまず投票だけ。シリーズもの・続刊が6冊、単発はオレンジ文庫の2冊。
……あらためてみると、今回はあんまり対象作品読んでなかったなあ(そもそも本屋にもなかなか行けない状況だったから、店頭でのふらっと買いがない)
あ、今回対象の作品で、マルドゥック・アノニマス新刊と金星特急続編はまだ読めてないので保留(読めば面白いのはわかってる2冊) あと、電子オンリーのため投票できませんが、『女王の化粧師2』も面白かったです。

『有閑貴族エリオットの幽雅な事件簿』[栗原ちひろ/集英社オレンジ文庫]

幽霊男爵の通り名を持つオカルト事件に目がない有閑貴族エリオットと、自分を「人形」という美貌のボーイ(下級の男性使用人)コニー。彼らが社交界でのおしゃべりや伝手で舞い込んでくる不可解な事件や出来事を解き明かしていく、19世紀のロンドンを舞台にした連作形式のオカルト・ミステリ。

主人公のエリオットのからりと明るい性格が影響してか、「オカルト」や「19世紀ロンドン」という言葉から連想するイメージとはちょっと違う仕上がりになっているというか、一味ふた味加わってる感じが面白かったです。あと、エリオットが自然すぎるほど自然に「見える」ことを生かした作中のちょっとした仕掛けに、この話では「誰」が「そう」なのか考えるのも楽しかった。収録作は幽霊よりも生きてる人間のほうが悪質だなあとなる話が多め。個人的には収録作の中ではオカルト色強めの3話と当時の社会事情・常識も絡んでなんとも言えないやるせなさが残る4話が印象に残りました。

登場人物関係は、エリオットとコニーのどことなく共依存的な主従関係の行方が気になるところ。あと、エリオットの友人のヴィクターは堅物ではあれど自分には見えない存在にも礼儀を持って紳士的に接し(ようとし)ていたり、時代背景を考えると十分にいい人だよなあ……としみじみ。他、女性陣では小さな貴婦人レディ・リリアンとエリオットの従姉妹で女性冒険家のアレクサンドラ、エリオットに従う執事ふたり等、それぞれ魅力的で良かったです。アレクサンドラの冒険話、私も聞きたい。

エリオットの痛快な怪奇事件解決をまだまだ楽しみたいのももちろんですが、最終話で明らかになったコニーの背景事情を知ると彼がいつか独り立ちする日が来るまで見守りたい気持ちにならざるをえなかったので、続刊がそう遠くない未来に発売されることを期待しています。

作品名 : 有閑貴族エリオットの幽雅な事件簿
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著者名 : 栗原ちひろ
出版社 : 集英社オレンジ文庫(集英社)
ISBN  : 978-4-08-680317-5
発行日 : 2020/4/22