『スレイヤーズ16 アテッサの邂逅』[神坂一/富士見ファンタジア文庫]

富士見ファンタジア文庫30週年記念で企画された、本編完結から18年目にして発売となった特別巻。

いや、なんというか。読んでてブランクをほとんど感じなかったのがすごい。話の展開も登場人物たちの言動も以前のノリそのままで、最初から最後まで楽しかったです。
話としては、2部のメンバーは、まあ、状況や経過時間的に登場が叶いませんでしたが、1部&アニメで活躍したアメリア&ゼル(+α)が登場し、かつて手こずった敵の亜種(と表現していいのかな、あれは)と激闘を繰り広げるという流れで、オールスター集合しての映画版あるいはテレビドラマの時間拡大版的な印象。2部ラストで呪符を失ったことで使えない術は増えているものの、そんなハンデを感じさせず強かにハッタリで状況を動かしていくリナや相変わらず剣技に能力全振りのガウリイ、そこに加わるかつての仲間であるアメリアとゼル、共闘するエルフのアライナ。彼女たちが繰り広げる掛け合いも、相手の出方を読み合いながらの戦闘も、どちらも軽妙なテンポで楽しめました。完全なハッピーエンドとはいかない、ほんのりビターな結末もまた良し。

思いがけずに読めた本編の続き、思い出補正も少なからずあると思いますが本当に楽しかったし、懐かしかった。この後の話もまたいつか、何かの形で読めると嬉しいな、と思います。………割と真面目に、ここから第3部始まってもいいんじゃないですかね?

作品名 : スレイヤーズ16 アテッサの邂逅
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著者名 : 神坂一
出版社 : 富士見ファンタジア文庫(KADOKAWA)
ISBN  : 978-4-04-072905-3
発行日 : 2018/10/20

『女衒屋グエン』[日向夏/星海社FICTIONS]

「薬屋のひとりごと」シリーズ等を書かれている作者さんの新作。架空の中華風王朝の花街、その一角にある妓館・太白楼を舞台にした連作小説。

妓館が舞台なだけあって、話の中心になるのはそこで暮らす妓女たち。焦点を当てる女を変えながら語られていく話のそこかしこに置かれた種が花開くクライマックスの展開は、小気味よかった。また、作者さんのちょっと突き放したような淡々とした文章と、太白楼を俯瞰する立ち位置にいる翡の目線がうまく作用しているのか、どの話も妓女を話の主にしてはいるもののあまり重くなりすぎず後味が悪くもなかったのも○。
クライマックスにあたる5幕以外では、3幕が好きかなー。未練を吹っ切った女の啖呵にすっきりした。あと、話のメインになった妓女の中でひとりだけ異なる道を行った万姫のその後が地味に気になる。

微かな花の香りを残して綺麗に幕を降ろした物語、面白かったです。

作品名 : 女衒屋グエン
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著者名 : 日向夏
出版社 : 星海社FICTIONS(星海社)
ISBN  : 978-4-06-513110-7
発行日 : 2018/9/18

『花だより みをつくし料理帖 特別巻』[高田郁/ハルキ文庫]

NHKで連続ドラマにもなった人気時代小説シリーズ。4年ぶりに発売となった「特別巻」は、登場人物たちのその後を描いたボーナストラック巻でした。

収録されているのは4編で、各話で焦点が当たるのは種市たち江戸のつる家の面々、小松原とその妻、野江、そして澪と源斎先生。当たり前ですが、シリーズが大団円で終わっても、彼女たちの人生はまだ続いていたわけで。あれからもいろいろあって、でも変わらず元気にやってるんだな、と。個人的に一番ほっとしたのは、種市とりうさんが年齢の割にお元気そうだったことかな。今回、幼い頃の澪と野江を占った易者さんにもお墨付きもらってましたし、まだまだ現役で頑張ってくれそう。あと、成長したつる家の若者組の姿や、小松原の妻・乙緒の屈託を晴らした菓子とその後の会話、野江の又次への想いとそんな彼女がようやっと望み手にしたもの、そして、道に迷うこともあれど互いの務めを尊重し支え合いながら暮らしている澪と源斎先生――どの話も懐かしい人たちの近況を思いがけず知る機会に恵まれたという感じで、「花だより」という表題に相応しい内容でした。

この先もまたいろいろあるだろうけど、みんなしっかり地に足をつけて生きていくんだろうと、そう自然と思えた1冊。読めて良かったです。

作品名 : 花だより みをつくし料理帖 特別巻
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著者名 : 高田郁
出版社 : ハルキ文庫(角川春樹事務所)
ISBN  : 978-4-75844197-1
発行日 : 2018/9/3

『腐男子先生!!!!! 2』[瀧ことは/ビーズログ文庫アリス]

「小説家になろう」書籍化作品(本編完結・番外編更新中)、1年3ヶ月ぶりの新刊発売。今回はコミック&文庫2巻を紙で買うと期間限定オーディオドラマが聞けるという特典あり。一方電子書籍版はおまけSSが1編収録されてます。

内容は、朱葉が進級して桐生先生が担任になって、という状況変化が。登場人物も1巻の面々に加えて恋敵!?のリア充同級生や「ぱぴりお」(朱葉のPN)のファンな後輩が登場し、1巻とはまた違った関係性が見えてくるのも良い感じ。らぶ方面では、朱葉と桐生の関係が鈍足ながらも進展していてとてもニヤニヤしました。あと、この作品の最大の特徴というかなんというかなオタクネタは、やっぱり読んでて共感しやすいですね。オタク的時事ネタがあれこれ散りばめてあるので、「これは間違いなく○○として、あれは多分■■かなー」的な楽しみ方もできるし、作中のオタトークには今回もそうそう、わかるわーとなることが多かった。「転売屋は殺そう」には同意しかない。
オーディオドラマはまだ聞いてないのですが、電子特典は桐生と秋尾とキング3人の気のおけないオタク友達同士のやり取りに加えて桐生の朱葉に対する想いも描かれてて満足。

本編完結(朱葉の卒業)まで、オタクネタが古くならないうちに文庫化されることを願ってます。

作品名 : 腐男子先生!!!!! 2
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著者名 : 瀧ことは
出版社 : ビーズログ文庫アリス(KADOKAWA)
ISBN  : 978-4-04-735294-0
発行日 : 2018/9/15

宝塚月組「エリザベート」を観てきた話。

言わずとしれた人気演目&月組トップ娘役愛希さんの退団公演ということで、チケット確保難しいだろうなあと思っていたのですが、友の会がおともだちになってくれたので、運良く観劇できました。ちなみに、過去の同演目はamazonの配信で観ましたが、東宝等含めて劇場で観るのは今回が初めて。以下、過去の演出にも特にこだわりがない&歌の良し悪しはよくわからない人間の、ふわっとした簡単な箇条書き感想。
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