宝塚星組「柳生忍法帖/モアー・ダンディズム!」を観てきた話。

気がついたら夏が過ぎて秋の色が深まりつつある今日この頃。そろそろ存在自体を忘れ気味な緊急事態宣言発令の最中ではありますが、感染症対策に気をつけて行ってまいりました。
以下、(原作者ファン視点・ほぼ第一部のお芝居についての)箇条書き感想。

・第一部の「柳生忍法帖」は、山田風太郎御大の作品群の中でも特に人気の、十兵衛三部作の一つ(せがわまさき氏によるコミック版もあり。なお、「忍法帖」の例に漏れずエログロ描写は多めなので、慣れてない人にはちょっときついかもしれない)を舞台化した作品。
・演目発表されたときに、「え、あれを宝塚でやるの? いやもちろん宝塚的変更はあるだろうけど、スミレコード大丈夫なの???」と(勝手に)心配したりSNS全盛の世の中でありますからうっかり目に入ってしまった一部のご意見に(勝手に)イラっとしてしまったりと、人生の半分以上作者のファンやってる身としてはどうにも落ち着かない気分で観に行きましたが、想像していたよりずっとうまくまとまっていたなというのが第一の感想。
・女人袈裟とかエログロ部分の諸々は再現できないと思ってたので、(原作比1%ぐらいのソフトさとはいえ)花地獄と雪地獄がちゃんと出てきて逆にびっくりした。
・礼真琴さん演じる十兵衛、お茶目でかっこよくてこれは惚れるわーという説得力しかなかった。鶴ヶ城での啖呵は原作でも一、二を争う名場面だと思ってるから、ちゃんと再現されてて良かった。(逆に、漆戸虹七郎との最後の勝負はもうちょっとこう、なんとかならなかったのかと……)
・舞空瞳さん演じるおゆらの方と愛月ひかるさん演じる芦名銅伯は、原作では下巻になってからの登場ですが、そこは変更が加わって序盤から顔見世&出番あり。
・原作で「いや脳内補完はするけどちょっと急すぎません!?」となったゆらの変心は、原作にはなかったエピソードも加えながら段階を踏んで描かれていたのでわりと理解しやすかったのではないかと。鶴ヶ城に十兵衛が乗り込んできた場面、オペラで彼女をロックオンしてたけど、徐々に変わっていく表情で落ちた瞬間はっきり分かったし。
・芦名銅伯と七本槍の面々のビジュアルが眩しくて、脳内に展開するせがわ版のキャラと一致しない問題。しかし、キラキラ麗しいが正義の宝塚とはいえ、彼らの非道さを序盤に描写してほしかったというのは正直なところかも。堀の女たちが抱く復讐心の説得力、さりとて彼女たちだけでは到底届かない相手、というのがあまり伝わってこなかったのがもったいない。
・その他、白妙なつさん演じる千姫様。思わず平伏したくなるオーラ、解釈一致でした(いやだって、一番怒らせてはいけないひとだから……)
・輝咲玲央さん演じる加藤明成は、これも見事なバカ殿具合でした(褒め言葉)
・天飛華音さん演じる多聞坊、思わぬ和みキャラになってるけど原作がああだから……と思ってどうなるのかとハラハラしていたけど、良い意味で裏切られた。
・一方で、運命が変わらなかったおとねさん、辛い。具足丈之進に「事情あって使われる子供」に変更された天丸・地丸・風丸も、辛い。
・あの原作の分量を一時間半でまとめただけあって「忙しい人向けの柳生忍法帖」ではあったけど、シンプルな痛快娯楽時代劇に仕上がっていて楽しかったです。
・ところで、忍法帖舞台化がOKなら、そのうち明治物もやってくれないかな……警視庁草紙とかエドの舞踏会とかどうですか……バウで風の中の蝶とか……
・第二部の「モアー・ダンディズム!」は全体的にゆったりめというかなんというか。前公演・雪組「Fire Fever!」とか前々公演・宙組「デリシュー」みたいながーっと怒涛の勢いで攻めてくるショーとは異なり、ゆっくり味わうようなショーでした。こういうのもまた楽し。

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