古都・甘味処巡り覚書(その二)。

市バスに揺られて帰宅する途中、唐突に「お茶飲みたい」と思ったので、市役所前で降りて「一保堂茶舗 喫茶室嘉木」に立ち寄る。
ここは正確には甘味処ではなく日本茶専門店併設の喫茶スペースなのですが、お茶と一緒に生菓子(干菓子に変更も可能)も出してくれるので。
このお店の最大の特徴は、「自分でお茶を淹れる」ことができることでしょうか。勿論、面倒なら店員さんにお願いできます。
玉露か煎茶もいいかなーと思ったのですが、なんとなく抹茶(濃茶)を注文。そして面倒くさがって店員さんにおまかせする私。

待つことしばし、京華堂さんの生菓子(何て名前のお菓子かもちゃんと説明してくださったのに、うっかり忘れた鳥頭)と一緒に濃茶が運ばれてくる。
(席によっては、目の前で点ててくださっているところを見ることもできますが、あいにく奥の席だった)
「一保堂」濃茶と生菓子
(光の加減で濃茶が上手く撮れませんでしたorz)
香りと苦みと甘みが凝縮された、ねっとりとした独特の味わいを堪能。お茶菓子も程よい甘さでバランスが良い良い。

濃茶が残り一口二口ぐらいになったあたりで店員さんに声をかけ、薄茶に点てなおしてもらう。
こちらのほうが一般的な抹茶のイメージに近い?のかな。きめの細かい泡が綺麗。口当たりはというと、濃茶に比べると当たり前ですがすっきりして飲みやすいですね。同じお茶のはずなのに、口に入れた瞬間の風味が全く違うのが面白い。まさに1杯で2度美味しい。

……しかし、ここでお茶飲んだあとは、普段の淹れ方の適当さになんだか申し訳なくなってくるな。

古都・甘味処巡り覚書(その一)。

北野天満宮前の「粟餅所 澤屋」。創業は1638年以前にさかのぼるという、老舗中の老舗。
とはいえ敷居の高さはまったくない、こじんまりした(というとちょっと聞こえが悪いか?)レトロなお店なので、参拝前後にふらっと立ち寄って気軽に美味しい粟餅を堪能できます。(時間によっては混雑してる。そして売り切れた時点で閉店するので注意)

メニューは「粟餅」のみ。注文してからお店の方が手早く作ってくださいますので、出来立てほかほかが食べられます。
お店で食べる場合はこしあんで包んだ粟餅3つ、黄粉を塗した粟餅2つと温かいお茶がセットで1人前(550円) 持ち帰りの場合は10個から。時間がたつと固くなって味が落ちるので、当日中に食べましょう。(ちなみに、粟餅の種類は注文時に好みで調整してもらえます)

「粟餅所・澤屋」粟餅
(携帯のカメラ機能があんまり……で、上手く撮れなかった。)

口に入れた瞬間、その温かさ・柔らかさに思わずうっとり。最初は5つも食べれるかなと不安に思ったものですが、米の餅と違った軽さ……とでもいうか、あまりもたれないのでぺろりと食べてしまいます(むしろもう1セットぐらい余裕でいけるかも……とか思ってしまう罠。しかし、さすがにその場で追加は恥ずかしいので、いつも持ち帰りする私)
こしあんは個人的にはもう少し甘さ控えめでもいいかな?と思うけど、餅の味を損なうことなくしっとり馴染んでいて、あとに残るくどさは全くないのが嬉しい仕様です。
一方の黄粉。黄粉のほんのりした甘さ・香ばしさと粟餅の自然な甘味が互いに引き立てあっている感じ。粟餅のつぶつぶ感・程よい弾力性は、こちらのほうがより味わえるかな。

こしあんも黄粉も、素朴なのに非常に上品な味わいが素敵。機会があれば、ぜひ食していただきたい一品。

古都・甘味処巡り覚書(導入編)。

ことの発端はあこやさんの「スイーツ充オフはほんとにやんのかな。」発言。
その後スイーツ充オフは実現の運びとなったのですが、関西在住の身としては参加したくても気軽に参加できないよ!と涙。
しかしまぁ、万年ダイエッター的にはそのほうがいいよそうだスイーツなんてカロリー高いよ敵だよ……などと自分を慰めていたのでした。
で、落ち着いたところでふと気になったのがあこやさんが例に挙げられていたお店。どんなメニューがあるのかなー、と興味を覚えてぐーぐる先生に質問してみたところ。

一見して、自制が外れましたともええ(笑顔)

あー私もスイーツ思いっきり食べたいなーでもやっぱり関東は遠いしなーとうだうだ考えていたら、唐突に
「洋菓子にこだわらなくても京都らしく和菓子を食べにいけばいいじゃない」
と、どこぞのアント○ネットさん調の天の声(悪魔の囁きともいう)が聞こえてきたのです。

そんなわけで(?)、わりとノリに任せて甘味処巡りを始める決心を固めたついでに、食べたものの記録を簡単にでも残しておこうかなーと。
鋭い味覚もなにも持ち合わせていない人間の適当な覚書ですが、興味のある方はどうぞ。

『パラケルススの娘 8 クリスマス・キャロル』[五代ゆう/MF文庫J]

 1年8ヵ月ぶりの新刊となる、「パラケルススの娘」第8巻。あんまり久しぶりだったので、前巻までの展開をほとんど忘れてしまっていましたが、読んでる間に何となく思い出したので良しとする。……ところでどーでもいいけど、MF文庫Jの今月新刊のなかで、表紙イラストが一つだけ雰囲気違うよねこれ。

 肝心の内容はというと、一言でいえばシリーズ最終章・序章編といった感じ。冒頭で描かれた、クリスティーナ宛の「恋文」に使われてしまったある一家を襲った悲劇に軽く凹みつつ(『クリスマス・キャロル』、ふつうに好きなんですよね私……)、漠然とした不安を覚えながらも日常を、そして目前に迫ったクリスマスを楽しもうとする遼太郎たちの健気というか、シリーズ当初からずいぶん逞しくなった姿に、なんだか目を細めてしまいました。その一方で、どうにも不安定さを感じさせるのがクリスティーネ。遼太郎たちには変わらず傲岸不遜な態度を崩さないものの、レギーネの前では不安におびえる子供のような振る舞いをしている様子がなんだか痛々しかったです。仇敵の存在よりもむしろ、「変化すること」により怯えているのではと思えるクリスティーナに、レギーネは何かを思うのか。後に語られた過去を知ってからは、その疑問がより強くなりました。
 中盤から語られるのは、クリスティーナとレギーネ、そして仇敵シモンの因縁。秘められた過去の真実は、これまで断片的に語られてきた情報からの推測とそう大きく違いませんでしたが、完全な形を示されたことでいろいろ整理できてよかったなーと思いました。過去話で一番印象に残ったのは、「クリスティーナ」の「祈り」の正体が描かれるところ。あそこはちょっと鳥肌ものだった。
 そしてラスト。これに関しては、そういう具合に動かすのか、と。クリスティーナの思惑はいくつか予想できなくもないけれど、実際のところはどうなんだろう。次巻以降の展開に期待です。

 さて。あとがきによればこの巻で最終コーナーをまわったらしいので、あと1~2冊で完結というところでしょうか。クリスティーナと遼太郎、それぞれの運命がどのように動いていくのか。残された「家族」はどんな動きを見せてくれるのか。次の巻がとても楽しみです。……次はできるだけ早く発売されると良いなぁ。

作品名 : パラケルススの娘 8 クリスマス・キャロル
    【 amazon , BOOKWALKER , honto
著者名 : 五代ゆう
出版社 : MF文庫J(メディアファクトリー)
ISBN  : 978-4-8401-2790-5
発行日 : 2009/5/25