『悪魔のソネット 永遠の扉は二人のために』[栗原ちひろ/角川ビーンズ文庫]

 逆ハーラブコメ+退魔バトルファンタジー、「悪魔のソネット」第5巻。これにてシリーズ完結です。

 4巻終盤の展開が展開だったのでどうなることかと思っていましたが、予想していたよりは平和に決着がついたなぁという印象。いや、一応世界レベルでの大騒動は起こっているのですが。なんというか、もっと血みどろな展開になると思っていたのですが……。良くも悪くも鬱展開にならなかったのは、登場人物たちの性質――前向きさというかへこたれなさというか苦境にあってもそれを乗り越えようと頑張るところが大きく影響したのかなぁ、と思ったり思わなかったり。

 えーと、登場人物関係については。とりあえずジャスティンとレクスは想いが通じ合ってすっかりらぶらぶ状態だし、パパは地味にこの親にしてこの娘ありな人だったし、エルデン&ルーナエはなんだかんだで精神的に一回り大きくなってフォロー役が板についてるし、その他登場した悪魔たちは案外軽いノリだし、でまぁ読んでてニヤニヤもできて楽しかったです。キュリオスも最後になってあーなるほどーと、思考が理解できたし。
 一方で、どこかで何かが歪んでしまったあの人たちの結末は……少なくとも、彼にとってはこれが望む限り最大のハッピーエンドではあったろうというのが救いかな。残された彼女は、全てを背負ってなお先を生きていかなくてはいけない、というのが少し切なくはありますが……まぁでも、最後の描写を見る限りでは彼女も大丈夫だろう、とそう思えるのが良かったです。

 最初は各要素の組み合わせが微妙(私的認識)でどうなることか、と思いましたが、終わってみればなかなかに楽しいシリーズだったと思います。

作品名 : 悪魔のソネット 永遠の扉は二人のために
    【 amazon , honto
著者名 : 栗原ちひろ
出版社 : 角川ビーンズ文庫(角川書店)
ISBN  : 978-4-04-451413-6
発行日 : 2010/2/1

『身代わり伯爵の誓約』[清家未森/角川ビーンズ文庫]

 庶民派少女ミレーユと、周囲の個性的な面々が繰り広げる王道ラブコメファンタジー、第11巻。この巻でシアラン編完結です。

 前回ラストでどうなるんだー!と思いましたが、記憶を無くしても本能的なところは全く変わっていないミレーユに安心するやら拍子抜けするやら(記憶そのものも案外あっさり?戻ったし) それ以外では、リヒャルトは本当自重しないな!とか、フレッドはやはりフレッドだなぁとか、パニックが落ち着いたあとの第五師団の面々の反応とか、大公はともかくウォルター伯爵はまだもう一段ぐらい何か仕込んでるかと思ってたよ、とかまぁそんなことをつらつらと思った。
 物語としては、さすがにコメディ成分少なめで、王道直球展開だった印象。シアラン王家を巡る戦いは綺麗にまとまり、ミレーユとリヒャルトのいちゃいちゃに床ローリングもして、とにかく満足の一言です。

 これでシリーズ完結でもいいんじゃ、と思うぐらい綺麗にまとまったのですが、最後でまたなんだか不安要素が……彼の動向も含めて、「花嫁修業編」はどういう展開になっていくのか、気になるところです。

作品名 : 身代わり伯爵の誓約
    【 amazon , BOOKWALKER , honto
著者名 : 清家未森
出版社 : 角川ビーンズ文庫(角川書店)
ISBN  : 978-4-04-452411-1
発行日 : 2010/2/1