「好きなライトノベルを投票しよう!! 2011年下期」に投票してみる。

いちせさん主宰の「好きなライトノベルを投票しよう!! 2011年下期」、とりいそぎ投票だけ。
世間の評判とかお構いなしに、思いつくままにリストアップ。各作品へのコメントは気が向いたら追加する。
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『プリンセスハーツ ~大いなる愛をきみに贈ろうの巻~』[高殿円/小学館ルルル文庫]

 大国パルメニアを征服するという目的のため手を組んだ仮面夫婦と主従の戦いと、関係の変化を描いたシリーズ第11巻にして完結巻。

 感想。ルシードとジル、そして二人と同時代に生きた人々にとっては、ほぼグランドフィナーレ、という感じでした。シリーズ中の謎も大体は綺麗にかたがついたし、舞台から去った人たちもおおむねは自分の望みを叶えて(あるいは託して)去っていったわけだし。あえて言うなら、最後の最後なのにジルの知略が発揮される場面がなかったのは残念だったかもしれない、というぐらいかな。
 ……と、そう思って満足する一方で、読了からずっともやもやしてるのは、やはり遠征王の存在があるから、なんだろうなぁ。いや、全パルメニアもの通しての細かな矛盾は今さら指摘する気はありませんが(その辺は今に始まったことでもない)、ただ、今回のことに関してはこの時点でわかってるなら、何か対策を採っておけよ!と叫びたい。とても叫びたい。むしろ叫ばせろ、という心境。だって、この時点でなにがしかの対策してれば、イグナシオやオリエを襲った数々の苦難が防げたか少しはマシになっていたかもしれない……と思うとやりきれないですよ。バルビザンデもなんでまた急にああなったのか分からないままだし、なんか納得できなくてすっきりしない……。
 そんなもやもやを吐きだして少しすっきりしたところで、登場人物に関して。とりあえず勝って生き残った人々はお幸せに。リドリスは、それが目的なんだろうと思っていたとおりだったけど、最期の「遺言」が切なかった。あと、メリルローズは思っていたよりもずっと一途で哀しい運命の人だったなぁ、と。

 全10巻これにて完結。次はどんなお話が語られるのか。「そのとき」シリーズが再開されたら嬉しいんだけどなー。

作品名 : プリンセスハーツ ~大いなる愛をきみに贈ろうの巻~
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著者名 : 高殿円
出版社 : 小学館ルルル文庫(小学館)
ISBN  : 978-4-09-452209-9
発行日 : 2012/11/19

2012年・年始の挨拶。

明けましておめでとうございます。
旧年中は「空想堂」をご贔屓にしていただきまして、ありがとうございました。

昨年は別趣味にかまけてサイトはまったりのんびりマイペースで更新続けていましたが、今年はサイトの更新ももう少しぐらいペースアップしていきたいなぁと思っています。面白い本読むと、やっぱり感想書きたい!となるものねぇ……。

そんなこんなで、2012年もまったり更新していく所存です。よろしくお願いいたします。

2011年・私的お気に入りの本。

昨年に引き続きペースダウン中ですが、まぁ、年末恒例行事ということで。順不同。
なお、今回はライトノベルも一般小説もごちゃまぜ。前提条件は今年発売されて読んだ本、というだけで、再読でも気にせず選びました。(今年は個人的に復刊組が強すぎたんです……)
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『帝国の娘(上・下)』[須賀しのぶ/角川文庫]

地母神とも邪神ともされるザカリア女神の僕、神鳥リシク。その翼から生まれたという伝承が残るテナリシカ大陸の西方に位置する大帝国・ルトヴィアの辺鄙な山村で、猟師の娘として暮らしていた少女カリエ。彼女の平凡な生活はしかし、ある日一変する。突然現れた男に攫われたカリエは、病に侵された皇子の身代わりとして過酷な訓練を受けたうえで、次期皇帝候補として選帝の地へと送られることになり――

 かつてコバルト文庫から発売されていた架空大河歴史ファンタジー「流血女神伝」(全27巻)。その序章というか開幕編「帝国の娘」が、この度角川文庫から新装版で発売されました。そういや、私がこのシリーズの感想書きだしたのって「砂の覇王」中盤からだったなぁと思い出したついでに、簡単に感想を書いてみる。

 再読して真っ先に思ったのは、カリエって芯の部分は最後まであんまり変わってなかったんだなーという。どんな目にあっても生き延びてやるっ!という、その信念というかなんというか、とにかく齢14歳にして並はずれて逞しい主人公だな……と今更ながらにしみじみ。まぁ、これぐらい逞しく(良い意味で)大雑把な性格でなかったらこの先も続く女神の試練には打ち勝てなかったでしょうけどねぇ。
 あとは、このあたりはザカール人及びザカリア女神に絡むファンタジー要素もあんまり表に出てなかったんだよなぁとか、描かれる皇子宮の日々にほろりとなったりとか、ミュカの成長と例の場面に分かっていてもうわああんとなったりとか、イレシオンの場面ではあああ、となったりとか。
 下巻の加筆修正部分が新鮮に読めたのは勿論ですが、大筋も何度目かの再読で内容が分かっていてもやはり面白かった。そういや修正部分でミュカがラクリゼの姿を目撃しているのは、のちに彼が……となることへの布石なのかな、とちょっと思った。

 「帝国の娘」以降の新装版はまだ未定のようですが、少女小説の枠内ではブレーキの必要だった描写も上限が広がってあれこれできると思うし、続くと良いなぁ。なにより、これが続いて次世代編に繋がっていくととても嬉しい。

作品名 : 帝国の娘(下)
    【 amazon , BOOKWALKER , honto
著者名 : 須賀しのぶ
出版社 : 角川文庫(角川書店)
ISBN  : 978-4-04-394484-2
発行日 : 2012/10/11