『帝国の娘(上・下)』[須賀しのぶ/角川文庫]

地母神とも邪神ともされるザカリア女神の僕、神鳥リシク。その翼から生まれたという伝承が残るテナリシカ大陸の西方に位置する大帝国・ルトヴィアの辺鄙な山村で、猟師の娘として暮らしていた少女カリエ。彼女の平凡な生活はしかし、ある日一変する。突然現れた男に攫われたカリエは、病に侵された皇子の身代わりとして過酷な訓練を受けたうえで、次期皇帝候補として選帝の地へと送られることになり――

 かつてコバルト文庫から発売されていた架空大河歴史ファンタジー「流血女神伝」(全27巻)。その序章というか開幕編「帝国の娘」が、この度角川文庫から新装版で発売されました。そういや、私がこのシリーズの感想書きだしたのって「砂の覇王」中盤からだったなぁと思い出したついでに、簡単に感想を書いてみる。

 再読して真っ先に思ったのは、カリエって芯の部分は最後まであんまり変わってなかったんだなーという。どんな目にあっても生き延びてやるっ!という、その信念というかなんというか、とにかく齢14歳にして並はずれて逞しい主人公だな……と今更ながらにしみじみ。まぁ、これぐらい逞しく(良い意味で)大雑把な性格でなかったらこの先も続く女神の試練には打ち勝てなかったでしょうけどねぇ。
 あとは、このあたりはザカール人及びザカリア女神に絡むファンタジー要素もあんまり表に出てなかったんだよなぁとか、描かれる皇子宮の日々にほろりとなったりとか、ミュカの成長と例の場面に分かっていてもうわああんとなったりとか、イレシオンの場面ではあああ、となったりとか。
 下巻の加筆修正部分が新鮮に読めたのは勿論ですが、大筋も何度目かの再読で内容が分かっていてもやはり面白かった。そういや修正部分でミュカがラクリゼの姿を目撃しているのは、のちに彼が……となることへの布石なのかな、とちょっと思った。

 「帝国の娘」以降の新装版はまだ未定のようですが、少女小説の枠内ではブレーキの必要だった描写も上限が広がってあれこれできると思うし、続くと良いなぁ。なにより、これが続いて次世代編に繋がっていくととても嬉しい。

作品名 : 帝国の娘(下)
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著者名 : 須賀しのぶ
出版社 : 角川文庫(角川書店)
ISBN  : 978-4-04-394484-2
発行日 : 2012/10/11

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