読書の夏、終了。

最後は思いっきり駆け足になりましたが、リストアップした作品もほぼ全部読了して無事に終了。
普段感想を書かない種類の本をリストアップしてたためか、いざ感想を書こうとしたら上手く書けずに詰まることもしばしばあったりしましたが、思い入れのある本について書けたのは単純に楽しかったです。
いつもながら拙い感想ばかりですが、どれか興味を持って手に取ってみようと思ってくださる方がいれば嬉しいです。

最後にオススメの一冊、ということですが……基本的に再読&お気に入りばかり選んだからなー。
うーん、初読のわくわく感も加味するなら『トルコ狂乱』[感想]だけど、でもリストの中からどれか一冊を、というならやっぱり『同日同刻』[感想]になるでしょうか。
山風は忍法帖の影響か荒唐無稽な話を書く作家、というイメージが一般的に強いと思いますが、その本領は構成力にあるんだと思い知らされます。
あと、『神無き月十番目の夜』[感想]は普通に傑作と思うので(個人的認識)、もし機会があったら一度読んでみて欲しいなーと思います。読後、多分凹むけど。(その勧め方はどうなんだ)

自分へのけじめのために宣言。

あえて書かなくてもいいかな、ともったのですが、私の性格上ずるずるいきそうな気がしたので、決意が固まってるうちに文章化。

前にもちょろっと書きましたが、現在私、某難関資格試験に挑戦しています。
加えて、最近転職活動もこっそり始めてたりします。
そんなわけで、わりとリアル生活が忙しくなってきているので、ちょっと更新頻度落としていこうかなーと思ってます(もともと宣言するほど頻繁に更新してないやんとかいうツッコミは禁止)
とりあえず、読了後に感想を叫びたい作品とかを優先させて、微妙な作品は後回しにしていく方向で。
更新を楽しみにしてくださってる方には申し訳ありませんが、当面は上記の方針で運営していくこと、ご理解いただけると幸いです。
以下、呟きというかお礼。
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『wonder wonderful(上・下)』[河上朔/イースト・プレス]

 しばらく前に感想サイト界隈で話題になってたWeb小説の書籍化。話題になってた時に一読し、わりと気に入ってたので新規書き下ろし&初版限定でWeb特典が読めるという書籍版も購入。

 Web版を読んだ時の、根本の部分がとても優しい物語だなーという印象は書籍版でも変わりませんでした。……個人的好みからすれば、ちょっと優しすぎる気もするのですが、まぁそこはそれということで。
 異世界旅行常習者の妹(学生)のピンチに、社会人の姉がその異世界に渡ってしまって……というシチュエーションから始まる物語。こういう異世界トリップもので、主人公のこかげが社会人というのが珍しいし、ファンタジーとは言うものの不思議要素があまりない世界なので、物事への対応とか作戦とか、いろいろと現実的なのが面白かったです。何か問題が起こっても勢いで突っ走らず、自分の状況やら何やらを総合的に考えてから次の行動を選んで実行していくのがなんだかリアル、というか、まぁ普通はそうするよなーと妙に納得。
 5年前におきた事件の影響で完全に「歓迎されざる客人」だったこかげが、時に下手を打って落ち込んだりもしつつ、自身の人柄や努力によって他者からの信頼や居場所ややるべきことを獲得していく姿に普通に好感を持ちました。あと、こかげの存在が呼び水となって、5年前の事件で傷を負った人々の間に少なくない波紋が広がっていくことになるのですが……それぞれの形で過去と向き合い折り合いをつけ、前を向いて歩いていく彼らの姿にもじんわり来るものがありましたねー。
 あと、ロマンス含めた人間関係も楽しかったです。こかげと隊長の距離が縮まっていく過程には言うまでもなくニヤニヤしましたが(不気味)、こかげとヨーサムの会話とかやりとりもお気に入り。

 そういう数々の背景や積み重ねがあったからこそ、事件が一件落着し、元の世界に戻る直前までの僅かな時間の温かさが、愛おしくて切なくて仕方がありませんでした。こかげの2回目の異世界行があるのかないのか、それはまさに神のみぞ知る、というところでしょうが……Web特典小説を読むと、またいつか、と願いたくなりますね。

作品名 : wonder wonderful(下)
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著者名 : 河上朔
出版社 : イースト・プレス
ISBN  : 978-4-87257-945-1
発行日 : 2008/9/13