先王の隠し子という巫女姫を擁する七都市が並び立つ地、東和。七番目の姫として擁立された少女・空澄(カラスミ)を中心に移りゆく時間や世界を描いた物語、第6巻にして最終巻。
3年2ヶ月ぶりの新刊で、内容も雰囲気もほとんど忘れかけていましたが、読み始めるとあっという間にこの世界の空気を思い出したような気がしました。それだけに、これで完結は残念だなぁ。何年待ってもいいから、この動乱の行く末を最後まで読んでみたかった。ただ、物語の中で「彼女たち」がただの少女としてではなく、その立場で出会ったことで、一つの区切りと言われればそうと納得もできるかな。
物語としては、東和の勢力図が大きく動いたようで、その実それほど大きくは変わってないような? どちらにせよ、箱庭の中の動乱はまだまだ続く、というところで幕となったのは、個人的にはちょっと意外だったかも。いや、5巻読んだときに、このまま一気に終結の方向に進むのかな、と思ってたので。
登場人物では、皆相変わらずお元気そうでーという感じで。思いがけず、人たらしの才能を発揮するエヅさんが楽しかったです。あと、二宮・翡翠が、なんというか、うん、やっぱり苦手なタイプではあるけれど、頑張れ……と声を掛けてあげたくはなったりしました。
戦記ものらしく各都市の衝突も人の死も身近にあるはずなのに、最後の最後まで不思議と透明感の漂う物語でした。ラストを飾るカラの笑顔が愛おしい。いつの日か、サイドストーリィか何かが読めると良いなー。(続編が一番うれしいけど)