謎の美女・金星の「婿候補」として、一寸先は闇どころか何が起きるか分からない列車に乗り込み、なりゆきから一緒に行動することになった3人組の冒険、第3巻。
なんというか、一気に話と世界が広がった感のある3巻でした。
今回の舞台となるのはユーラシアの大平原で、砂鉄の所属する傭兵集団・月氏の「羊追い祭り」に強制参加させられることに――という展開。必然的に砂鉄周辺のあれこれが明らかになりました。苦労してるというか、殺伐としてるというか悩むところですが……それでも、錆丸とユースタスの謎さ加減に比べると、彼がとても普通の人に思えてくる不思議。あ、2巻でゴロゴロした砂鉄とユースタスの関係は今回もとても美味しかったです。
その他、2巻ラストで登場したアルベルト殿下を筆頭に新キャラ大量投入。殿下は予想通りのなかなかアレな人ですねとか、月氏の面々が素敵だなぁとか、錆丸の兄ちゃん……!とか、彗星とマリアの女子コンビのパートは時間軸いつぐらい?とか、いろいろと楽しかったです。
世界の謎的にも、パラレルワールド設定だと思っていたら、どうもそう単純なものでもない模様? こちらのほうも、この先どう展開されていくのか、とても気になります。
あーあととりあえず、草原は浪漫、月氏というネーミングもとても浪漫と主張したい!(落ち着け)
さて、なんとか月氏の試練を乗り越えた錆丸ですが、一難去ってまた一難……というか、なんだこの酷いヒキはー! うぅ、4巻をじりじりしながら待つか、それとも本誌に手を出すべきか(悩)
『天涯のパシュルーナ 4』[前田栄/新書館ウィングス文庫]
独自の信仰と文化を持つ山間の小国で、生後間もなく行方不明となった第一王子に仕立て上げられた少年(本人やる気なし)と周囲の人々が繰り広げる王道ファンタジー、第4巻。
3巻後半から続くジェットコースター展開は今回も健在。しかも、気がついたらトゥラルクだけじゃなくて周り……どころか国ごと大騒動に巻き込まれてるのがなんともかんとも。
お話的には国王殺しの嫌疑を晴らすために「神の裁定」というとんでもない試練を課せられたり、国の守り神とされるパシュルーナと対面してみたり、いよいよ動き出した第二王妃がさらなる大騒動を運んできたりと、急展開に次ぐ急展開。最後は、わりとふてぶてしいアーミルすら怯える帝国の将軍が登場――えっと、もしかしてこの人、(自主規制)だったりするんでしょうか。……だったら、いろんな意味で面白そうだな(←をい) あと、鳥かわいいよ鳥。
で、肝心の主人公。望んでもいないのに王様になるしかないような状況に追い込まれていくトゥラルクは、本当にお気の毒というか。ここに至って、とにかくこの騒動を収めないことには逃げ出して寝ざめの悪い結果になりそうだと妥協しましたが。作中でも似たようなことを言われていましたが、多分、このまま逃げられなくなるんだろうなぁ。まぁ、諦めて頑張れ(適当)
それにしても、一体この話はどう着陸することやら。とにかく、最終巻を楽しみに待ちたいと思います。
2011年1月の購入予定。
毎月恒例購入ほぼ確定組の自分用備忘録。
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『ミストクローク―霧の羽衣 (2)古からの声』[ブランドン・サンダースン/ハヤカワ文庫FT]
『Mistborn: The Hero of Ages』、邦訳版第2巻。解放された〈破壊〉神を再び封じるため、奔走するヴィンたち。しかし、事態打開のための一手はなかなか見つからず、相手に徐々に追い詰められていき……という展開。
読後真っ先に思ったのは、「え、あと1冊で終わるんだよねこれ」でした。いや、確かに終幕に向けていろんな謎――尋問官、カンドラ、コロスがどのように生み出されるか(予想以上にアレだった)とか、〈破壊〉神と〈保存〉神の関係とか、そういった部分の謎は明かされつつあるのですが、物語的には主要人物がさらに泥沼に嵌まっていってるというか。最強の戦力となるヴィンが、油断もあってこれまでで最大級のピンチに陥ってしまったり、スプークは相変わらず死亡フラグがげふんげふんだったり。つーか、テン=スーン視点は爽快感が勝っていたけれど、それ以外は溜めが多くて……一体ここからどうやって巻き返すんだー!と叫びたい気分にかられました。
ともあれ、残り一冊。果たしてヴィンたちの戦いがどのような結末を迎えるのか。1月予定の最終巻でどれほどの「雪崩」が起きるのか、とても楽しみです。
『プリンセスハーツ ~これが最後の恋の巻~』[高殿円/小学館ルルル文庫]
大国パルメニアを征服するという目的のため手を組んだ仮面夫婦と主従の戦いと、関係の変化を描くシリーズ第9巻。今巻から最終章開始ということで、いろいろ謎が明らかになったりさらに深まったり。
らぶ方面では、今回は夫婦別行動ということで前巻ほどあからさまにニヨニヨする場面はありませんでしたが、随所でそのらぶらぶぶりは見せつけられた気がします。……それにしても、あそこで「密接」という単語が出てくるあたりが実にジルだよなぁ(笑)
話の本筋絡みでは、ママ・クリスの謎が明らかに。それと同時に明らかになったハクラン王の人となりは、これまで思っていたよりも随分と深かった……とりあえず彼は猫さんと幸せになるといいと思う。あと大きいところでは、オズマニア王とその息子との一応の決着かな。親子揃ってうざ……と思いだしていたところにジルの策略がきれいに決まったので、とてもスカッとしました。オースはまぁ、これからいろいろ頑張れ(適当)
さて、シングレオ騎士団を掌握し本格的にパルメニア攻略に乗り出したルシード。そして、数々の謎と対峙するため「墓場」へと向かうジル。果たして夫婦の戦いの行方がどうなるのか。あとがきによればメリルローズもいよいよ動き出すらしいですし、先の展開が気になるところです。