十年前に冤罪で処刑された公爵令嬢スカーレット・カスティエルの亡霊と、誠実が家訓の地味な子爵令嬢コンスタンス・グレイル(愛称コニー)。性格も考え方もまるで違う凸凹コンビが、スカーレットの「復讐」のために十年前の事件の真相を探るうち、国を脅かす巨大な陰謀に足を踏み入っていく、「小説家になろう」発のクライム・サスペンス3巻&本編完結。
2巻収録分で十年前に起きていた事件の真相が読者にはおおよそ明らかになっていましたが、3巻開始早々にスカーレットとコニーもその真相を察することに。流石に気落ちしている風なスカーレットを見たコニーの、間髪置かずの提案。さらに、雨の中墓の前でひとり俯く婚約者のランドルフへの反応。こういうことをごく自然にできるコニーだからこそ築くことができた関係があって、彼女が敵の罠にかかって処刑という状況に追い詰められたときにそれが発揮される展開にも納得感。
あと、前からだったけど今回も女性陣が強いこと強いこと。セシリア王太子妃も、なぜ彼女がそういう生き方を選んだのかが語られた上でのあの選択……彼女が大なり小なり関わってきただろう行いは無論許されるものではないけれど、それでも、本人が納得して駆け抜けた先に見た人々の幻影に少し心が慰められました。あと、ルチア・オブライエン嬢が最高。え、エピローグで触れられた夏の旅行(予定)で彼女を主役にしたスピンオフとかありませんか(現状、ありません) あ、忘れちゃいけない、ハームズワース子爵ランクアップおめでとうございます(?)
さて。十年前に端を発した陰謀はこれにて終幕となりましたが、「復讐」という名のコニーとスカーレットの凹凸コンビ+ランドルフ閣下の賑やかな日々はまだまだ続いていく様子。とりあえず「なろう」に掲載されている後日談はそのうち書籍化されると嬉しいなあ。