長編伝奇シリーズ「封殺鬼」、二ヶ月連続刊行の神島桐子主役の昭和編エピソードです。
上巻ラストで学園に封じられた魔性であり、未来を予言する「件」ではないかとされた少女・妙子が登場し、事態は急変するのかと思ったら……なんか予想とは全然違う方向に展開したというか、とても少女小説だっ!と叫びたくなった。
とりあえず、生まれて初めての学園生活を同年代の友人と一緒に過ごす桐子が、実に乙女になっててニヤニヤ。桐子だけでなく、清香も妙子もかわいくてさらにニヤニヤ。それだけに、終盤の男どもにはこのおおたわけー!と言ってやりたい。とても言ってやりたい。志郎はまぁかろうじてセーフだけど、あとの二人はちょっとそこに正座しなさいと(以下延々と続くため略)
そんなこんなで乙女たちの目映い青春模様にニヤニヤゴロゴロする一方で、ひたひたと暗くなっていく世相がなんともはや。学園内にも軍の思惑絡みだけではない、社会の歪みが厳然と存在していたりするしな……本当、このまま何も起こらず、みんなで卒業できればいいよ、としみじみ思いました。あと、御景の名前が出てきて、おぉ、と思った。桐子の時代だと仕方がないとはいえ、神島が前面に出てくるからなぁ。
さて。未だその全貌が見えぬ、学園――もっと言ってしまえば、妙子という少女を巡る思惑は如何なるものなのか。三人の乙女たちの恋の行方も含めて、下巻発売がとても待ち遠しいです。
作品名 : 封殺鬼 クダンノ如シ(中)
著者名 : 霜島ケイ
出版社 : 小学館ルルル文庫(小学館)
ISBN : 978-4-09-452221-1
発行日 : 2012/4/26