中世ヨーロッパ風異世界を舞台に諜報員として仕込まれた女性が陰謀の狭間で活躍するファンタジー小説、「クシエルの使徒」第2巻。
1巻は宮廷陰謀劇が主軸だったのでわりとまったり進行でしたが、2巻は事態急転の巻でした。そういえば、第一部「矢」もこういう構成だったな……とは思うものの、客観的に状況を比べると格段に悪くなっているという。つーか1巻でもその傾向はあったけど、それに輪をかけてもう、ジョスランさんちょっとそこに正座しなさい、と言いたくなった。いや、彼の気持ちも分かるし格好良いところもあったにはあったんですが、それにしたってね……(以下、延々と続く)
一方、フェードルの前に堂々と姿を現したメリザンドは相変わらずの女王様っぷり。フェードルとメリザンド、この二人のSM百合……もとい、血が呼び合うのか互いへの執着が切り捨てられない関係が、最終的にどういう具合に決着するのかも気になります。
ともあれ、またもや苦難に襲われたフェードル。それでも一縷の希望を胸に必死に生き延び、手に入れた情報をなんとか故国へ届けようと奮闘するものの……最後は、「うわー……!」としか言いようがない状態に。果たしてフェードルはこの難局を切り抜け、メリザンドに一矢報いることができるのか。そして株が下がりまくったジョスランの巻き返しはあるのか。4月予定の3巻が待ち遠しい限りです。
作品名 : クシエルの使徒 (2)白鳥の女王
著者名 : ジャクリーン・ケアリー
出版社 : ハヤカワ文庫FT(早川書房)
ISBN : 978-4-15-020510-2
発行日 : 2010/2/28