deltazuluさんとTwitter上でpostしてるあいだにそんな話になって、選んでみた。
おむらさんの「年末年始に読むライトノベル2009」やななきさんの「年末年始に読む本」という記事の影響も多々あります。
ちなみに今回は、
(1)発行年度は無視。ただし、入手困難な作品は除く。
(2)切ない系・重い系・後味悪い系禁止。(新年早々だし気軽に楽しめるほうが良いかな、と)
(3)シリーズものはあまり冊数が多くないor話にある程度区切りついてること。
以上の条件で選んでみました。
『烏金』[西條奈加/光文社文庫]
江戸で金貸しを営むお吟婆さんのところに居着いた青年・浅吉。斬新な発想で着実に利を稼ぐ浅吉の目的は?という筋立ての、人情系時代小説。浅吉の「経営アドバイザー」ぶりが気持ち良いです。ちなみに、続編というかスピンオフというかで『はむ・はたる』という作品も発売されています。
『後宮小説』[酒見賢一/新潮文庫]
「腹上死であった、と記載されている。」という一文から始まる、第1回日本ファンタジー小説大賞受賞作。ひょんなことから後宮に入った田舎娘・銀河の純愛&成長譚を軸に据えて展開される、架空王朝(中国風)を舞台にした物語。作者氏のカタリの巧さはデビュー作から図抜けているなぁ、と思います。
「緒方洪庵・浪華の事件帳」[築山桂/双葉文庫]
大阪の街を舞台に、武家の出ながらも蘭方医を志す青年・緒方章(後の緒方洪庵)が、とある事件で知り合った男装の女剣士・左近とともに様々な事件に関わっていく、連作時代小説。全2巻。ちなみに、N○Kで映像化もされました。
最初はひ弱なばかりだった章が、次第に成長していく様子が良いです。左近へのほのかな想いにもニヤニヤします。
「用心棒日月抄」[藤沢周平/新潮文庫]
藩内の政争に巻き込まれて脱藩し、江戸で浪人暮らしをしている青年・又八郎。用心棒稼業で生計を立てている彼のもとに、今日も事件が持ち込まれる……という形式の連作短編。全4巻。剣劇だけでなく、江戸の市井の暮らしぶりや個性的な登場人物のやりとりなども楽しい、時代小説の傑作。(ただ、最終巻はちょっと毛色が違うので好き嫌いが分かれるかもですが……)
「耽美なわしら」[森奈津子/ハヤカワ文庫JA]
それぞれ個性というかアクの強いセクシュアル・マイノリティな人々が繰り広げる、どこにでもあるような(?)友情と日常話。「耽美」といいつつ、中身は耽美の「た」の字も見あたらないハイテンション・コメディ。鳥肌ゲーム(2巻)とか腹筋つるかと思うぐらいツボにハマった。初出は10年前らしいですが、内容は全然古くないというのが地味にすごいと思う。現在2巻まで刊行中。続編発売も含みがあるような感じなので、そのうち思い出したように発売されると良いなぁ……。
「ぶたぶた」シリーズ[矢崎存美/徳間デュアル文庫・光文社文庫]
冊数は出てるけれど(11冊ぐらい?)、基本的にぶたぶたさんの設定以外は各巻のつながりはない連作短編集なので、どこからでも読めます。最新作の『再びのぶたぶた』だけは他の作品とのつながりがあるのであとから読むほうがいいかも?ぐらい。
まぁなんですか。ぶたぶたさんは全てを癒してくれる魔法の存在ではないけれど、それでも確実になごみなのです。かわいいは正義なのです。
『おんな牢秘抄』[山田風太郎/角川文庫]
大岡越前の娘・霞が、父親との口論をきっかけに「姫君お竜」と名乗って小伝馬町の女牢に潜入。既に死罪が申し渡されている6人の女囚に接触し、彼女たちの嫌疑を晴らしていく、痛快捕物小説。何気に「面白うてやがて哀しき」な終幕が多い山風作品にしては珍しく、微笑ましいラストが良いです。天真爛漫・恋する乙女な霞がかわいいのも良い良い。