『アルワンドの月の姫 砂漠の王子と銀の杖』[ながと帰葉/集英社コバルト文庫]

緑豊かなアルワンド領の姫で、月のような美貌と謳われるアルナイーズ。彼女は世間の噂のようなしとやかな性格ではなく、自らの知恵を武器に政治の世界に関わることを望んでいたが、とある事情からひたすら忍耐の日々を送ることを余儀なくされていた。そんなある日、支配国の王子シャルフがアルワンド領を訪れる。彼との出会いによって、アルナの運命も動き始めるのだった。

 昨年日本史を題材にした作品でデビューした作者氏の2作目。スルーするかちょっと迷ったのですが、あらすじ読んでもしかして千夜一夜風の話?というわけで購入してみた。

 感想としては、悪くはないけど全体的に甘かったかなーというところ。姫君の策は、詰めが甘いというかそれ以前の問題というかリスク高すぎじゃないかそれとツッコミたくなりますが、ある意味箱入りで世間慣れしてないという事情を考えると、まぁ。しかし、それ以外のシャルフとか彼と敵対する王妃と王太子とか、これまでも権力闘争を繰り広げてきたわりに、なんでそんなに甘いんですか!と。……まぁ、個人の好みに加えて、コバルトではその辺のドロドロ劇もしっかり描写していた「女神伝」の前例があるからどうしても見る目が厳しくなってしまってる節はあるかもしれません(←求めるハードルが高すぎるってば) あと、期待したアラビアな雰囲気については……正直に言って、もっと頑張ってくださいという感じ(←ハードルが以下略)
 ……なんだか全然褒めてない気がしますが、陰謀劇を除いたストーリィや設定は王道で普通に好み。最初はシャルフを「仕えるべき主」とだけ考えていたアルナが次第に彼に惹かれていく様子はニヤニヤできたし。……でも、最終的にくっつくのは名義上の婚約者である将軍のほうがいいなーと思いますが。

 そんなこんなで個人的な好みからいえば微妙な部分も多々あるけれど、まぁとりあえず続きがあるなら購入しようかなーとは思ってます。

作品名 : アルワンドの月の姫 砂漠の王子と銀の杖
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著者名 : ながと帰葉
出版社 : 集英社コバルト文庫(集英社)
ISBN  : 978-4-08-601143-3
発行日 : 2008/3/1

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