『君のための物語』[水鏡希人/電撃文庫]

 第14回電撃小説大賞金賞受賞作。事前にあらすじを読んだ時点ではいまひとつピンとくるものがなくてスルーしようかと思っていたのですが、なんとなく気になって購入してみた。作家志望の「私」と、とある出来事を切欠に知り合った「彼」。彼らの奇妙な交友を綴った物語。

 中身はいわゆる連作短編形式で、一話ずつ「私」と「彼」ことレーイに様々な形で絡んだ出来事が描かれています。
 紡がれる物語のどれもが、淡々としているようで、しかし切なさや優しさを感じさせてくれる普通に「良い話」。さらに、関わった出来事を通じて「私」とレーイの信頼関係がゆるやかに構築されていく過程がまた「良い話」で。なんというか、派手さや目新しさはほとんどないけれど、全体的に落ち着いた雰囲気と着実に積み重ねられていく物語の展開が魅力的だなぁと思いました。あと、読了後に冒頭の謝辞をもう一度見て、そういう趣向だったかとなんとなく納得。

 ライトノベルとしてはかなり地味な部類になる話だとは思いますが、個人的にはこういう話は大好きなので楽しめました。次回作も期待。

作品名 : 君のための物語
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著者名 : 水鏡希人
出版社 : 電撃文庫(メディアワークス)
ISBN  : 978-4-8402-4166-3
発行日 : 2008/2/10

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