0905購入メモ(その4)。

『エノーラ・ホームズの事件簿 令嬢の結婚』[ナンシー・スプリンガー/小学館ルルル文庫]【amazonbooplebk1
『海の都の物語1 ヴェネツィア共和国の一千年』[塩野七生/新潮文庫]【amazonbooplebk1
『海の都の物語2』[塩野七生/新潮文庫]【amazonbooplebk1
『海の都の物語3』[塩野七生/新潮文庫]【amazonbooplebk1
『儒教三千年』[陳舜臣/中公文庫]【amazonbooplebk1
『パラケルススの娘 8 クリスマス・キャロル』[五代ゆう/MF文庫J]【amazonbooplebk1
『Under the Rose 6 春の賛歌』[船戸明里/バーズコミックスデラックス]【amazonbooplebk1

WordPress2.8-beta2にアップグレード。

言ってる間に正式版リリースされそうですが、どんなものかなーととりあえず。
ざっと見た感じだと、今回はあまり大きな変化なしっぽい。
そして、個人的に邪魔にしか感じられないリビジョンの管理がコアで実装されてないかと期待しておりましたが、儚い夢でした……。
そういや、今回のアップグレード時にふと見直したら何気にプラグインも結構入れ替えしてるなぁと思った。

以下、次回バージョンアップ時に本体ファイルのどこを変更していたのか忘れないための自分用メモ書き。
“WordPress2.8-beta2にアップグレード。” の続きを読む

『Under the rose 6 春の賛歌』[船戸明里/バーズコミックスデラックス]

年1冊ペースで単行本発売中の、ヴィクトリア時代の英国貴族の館を舞台にした物語、第6巻。

前半は引き続きホームパーティー編。このエピソードはなにかもっと酷い出来事が起こるんじゃないかと構えていたら、案外穏やかに終わった感じ(まぁ、読了後にはエピソードにつけられたタイトルの皮肉さ哀しさにうわぁとなったわけですが) アンナさんの突然のスタンリー家同行は、スタンリー家の素朴さ(というか一般階級の生活)とアンナさんの感覚のずれにはらはらしつつも、陰惨な感じはなかったのでどこか緊張を孕んだ雰囲気なのに割と安心して読み進められました。同時に描かれるウィルとレイチェルの関係も、表面的には何も変わっていないようで、しかし奥底の部分で変化していて……最初の頃のような痛々しさがないので、今はこの二人が自身の心とどう折り合いをつけていくのかが気になっています。それにしても、この二人は直接的な描写よりも、合間のちょっとした描写(二人の微妙な空気にベティが気がついた場面とか先生が髪を下ろす場面とか表面に出ていないウィルの感情を普通に読み取ってたりするところとか)にとてもドキドキするな。
まぁそんなこんなで穏やか気分で読了できるかと思いきや、ここから本領発揮で。スタンリー家訪問後のアンナの言葉にああ、やはり幸せ気分なだけでは終わらせてくれないのね……と遠い目をした。しかも、その後の展開がまた……レイチェルが「あること」に思い至ったとき、そしてついに吐き出された伯爵の言葉が、なんとも、なぁ……。指摘されてみれば納得というかむしろそれで当然だとも思うのだけれど、それでも今まで前提としていたことがたった一つの事実で容易くひっくり返ってしまったのが衝撃だった。正直なところ、今まで伯爵とウィルは腹の底が読めずに苦手だったのだけれど、一気に等身大の「人」になったというか、ずいぶん理解できるようになった気がする。既刊読み返したら、この二人の行動もかなり違って見えるだろうなー。……ああそれにしても、どこかの時点で何かが少し違っていれば、もしかしたら……と思ってしまうのがなんとも哀しい。絶望的なまでに相性とタイミングと……とにかく全てが裏目に出まくった二人だ。

さて、この衝撃の展開から次はどのように話が動いていくのか。次の巻がとても待ち遠しい。……というか、ある程度ハッピーエンドになるはずなんだよねこの話……そこに至る道筋が全く見えてこないけど。

作品名 : Under the rose 6 春の賛歌 【amazonbooplebk1
著者名 : 船戸明里
出版社 : 幻冬舎(バーズコミックス)
ISBN : 978-4-344-81648-0
発行年月 : 2009.5

『妖説忠臣蔵・女人国伝奇 山田風太郎妖異小説コレクション』[山田風太郎/徳間文庫]

 月に一回・山風感想。今月は徳間文庫から発売の妖異小説コレクション(全4巻)から選んでみた。ちなみに「妖異小説」といってもオカルト的な作品ではなく、忍法帖・明治もの・室町ものの大分類に含まれない時代小説をまとめた作品集となっております。
 第3巻目に当たるこの本は、もともと同じテーマの作品で括った短編集として発売されていた「妖説忠臣蔵」と「女人国(ありんすこく)伝奇」の合本。前者はご存知忠臣蔵を題材とした短編7つ、後者は吉原を舞台にした短編6つで構成されています。

 『妖説忠臣蔵』は、吉良邸討入前後の関係者の姿を描いたもので、様々な立場や角度から『忠臣蔵』を描いているのが面白い。同じく忠臣蔵を扱った『忍法忠臣蔵』と読み比べるのもまた面白いと思います。個人的なインパクトでいえば、「殺人蔵」がベスト。ここで描かれる大石内蔵助の迫力は尋常じゃない。あと、最後のほうで語り手が「誰」なのか分かったときは思わずにやりとする。その他では、義挙の前に思わぬところで足を掬われたある男の姿を描く「蟲臣蔵」、討たれたはずの吉良上野介が生きていると言う噂から始まり、「不忠臣」とされた旧赤穂藩士たちが汚名を雪ごうと目論んだその事の顛末までを描く「生きている上野介」あたりがお気に入り。
 『女人国伝奇』は、実在の人物を配した話の組み立てが見物。明治ものとはまた違った雰囲気の、虚実交えた展開の面白さばかりでなく、遊郭に身を置く女たちの美しさ・誇り高さ・煌びやかさ・そして哀れさをしっかり感じさせるところがまた憎い。中でも私が気に入っているのは「夜ざくら大名」。水戸藩のお家騒動を描いた話なのですが。序盤である人が出てきた瞬間ニヤニヤした程度の時代劇スキーです。その他、体調が思わしくない妻の出産費用を工面するべく、切られた小指を集めては何故かそれを高値で買い取る花魁のもとへ通う勝小吉(某幕末有名人の父親)が巻きこまれた騒動を描く「ゆびきり地獄」、男の身勝手のため遊女に身を落とした娘の悲運に鼠小僧を絡めた「蕭蕭くるわ噺」も印象に残ります。……ところで、何度か登場する花魁・薫は金蓮様@『妖異金瓶梅』と、本質的な何かがとてもよく似た人だと思う。いや、絵を巡って起きたある事件の顛末までを描いた「怪異投込寺」が強烈だったのでそんなイメージが残っただけかもしれませんが。

作品名 : 妖説忠臣蔵・女人国伝奇 山田風太郎妖異小説コレクション
    【 amazon
著者名 : 山田風太郎
出版社 : 徳間文庫(徳間書店)
ISBN  : 978-4-198-92027-2
発行日 : 2004/2/5

『BLACK BLOOD BROTHERS 11 -ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生-』[あざの耕平/富士見ファンタジア文庫]

 吸血鬼と人間の共存地帯『特区』と、そこに住まう吸血鬼と人間たちの物語、「BBB」シリーズ長編、完結。

 敵・味方ともに見せ場が用意された特区奪還戦が、すごかった。本当にすごかった。ジローの呼びかけに応え、その身一つで特区に戻ったミミコ。彼女の帰還が口火を切る形となり、その日その時、特区に集った吸血鬼と人間たちがそれぞれの意思や信念を胸に、最後の戦いを繰り広げる様子は、まさに怒涛のごとく。カンパニー側、九龍側、双方ともに背水の陣。ギリギリの駆け引き、逆転に次ぐ逆転の連続と、どちらに勝利の女神が微笑んでもおかしくないと思える戦いの行方に、手に汗を握りっぱなしでした。
 最後の一戦に相応しい敵味方そろい踏みした戦闘は圧巻でしたが、そればかりでなく、登場人物たちがそれぞれに抱く想い、あるいは既に舞台を去った人から受け継がれたもの、日々の中で育まれた絆の深さ等が押しつけがましくなく伝わってくる行動や会話も、間違いなく見どころの一つでした。とりわけ印象に残ったのは、やはりミミコが「九龍の血族」に対して出した答えでしょうか。カーサと対峙する中で紡がれた言葉、交わされた約束、そして、最後にある人に突きつけた勝負。いかにも彼女らしいと納得できるそれは、「宿命的に弱者」であった「導主」アダムとその家族たちが大乱の果てに掴んだ数少ない成果でもあり……なんというか、感慨深かったです。あと、九龍の兄弟たちの絆には何度も涙しました……イラストがまた、いちいち反則なんだよなぁ……。

 そして、戦いの後彼らが過ごした1年間。共に過ごす時間がまだ残されていたことが、嬉しくて。ついに目覚めた彼に対し、変わらぬ笑顔で接する二人にまた涙が滲み。最後に語られたエピソードでは、残された人々のその後の足跡が目に浮かぶようで、切なくも温かい気持ちが残りました。
 正直、1巻を読んだときはここまで面白くなるなんて思っていませんでしたが、本当に素晴らしい物語でした。考えられる限り最高に素敵で「らしい」終幕までを見事に描ききったあざのさんに、最大級の感謝を。次シリーズも楽しみに待ちたいと思います。
 ……ところで、あとがきで語られていた「その後」もとても面白そうで興味津々なのですが。Dクラ+のときみたいに、なんらかの形で発売されるといいなぁとこっそり希望。

作品名 : BLACK BLOOD BROTHERS 11 -ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生-
    【 amazon , BOOKWALKER , honto
著者名 : あざの耕平
出版社 : 富士見ファンタジア文庫(富士見書房)
ISBN  : 978-4-8291-3403-0
発行日 : 2009/5/20