1001購入メモ(その1)。

『鳥にしあらねば 地獄の花嫁がやってきた』[瀬川貴次/集英社コバルト文庫]【amazonbooplebk1
『月の船 星の林 地獄の花嫁がやってきた』[瀬川貴次/集英社コバルト文庫]【amazonbooplebk1
『浪華疾風伝あかね 壱 天下人の血』[築山桂/ポプラ文庫ピュアフル]【amazonbooplebk1
『デュラララ!!×7』[成田良悟/電撃文庫]【amazonbooplebk1
『葛野盛衰記』[森谷明子/講談社]【amazonbooplebk1
『遊郭のはなし』[長島槇子/幽BOOKS]【amazonbooplebk1

『地獄の花嫁がやってきた(全4巻)』[瀬川貴次/集英社コバルト文庫]

 発売直後に1巻は購入&読了したものの、予想していた以上のノリの軽さに戸惑ってしまい、2巻は機会があったらーぐらいに思っていたのですが。先日、2巻を読んだら「あれ、普通におもしろいよ?」となり、そのまま4巻まで一気読みした。多分、1巻でシリーズのノリをつかんでいたので、2巻以降は素直にノリを受け入れられたんだろうと思う。

 時は平安、世渡り下手で不器用な貧乏貴族・暁信が婚活中に思わぬ騒動に巻き込まれ……というのがざっくりしたあらすじ。シリーズタイトルから想像できる通り、物の怪(というか地獄の住人達というか)も話に絡んできます(祓ったりとかそういう展開はない)
 ラブコメ的には、不器用だけれど、常識的で誠実な好青年の暁信が、婚活中に知り合った夜魅姫(愛称:ヤミー。幼いけれど可愛らしい姫君。しかしその正体は……)の求愛や、型破りで何事にも積極的に関わっていく多佳子のからかいに振り回される様子にニヤニヤします。物語的には、上記三人に、暁信の乳兄弟・実唯や斎院に仕える女房・蘭子、夜魅姫の許嫁・夜叉王や各話ゲストが加わってのドタバタ騒動が普通に楽しくて、つい吹き出したり。……つーか、最初のうちはまだ抑えてた(と思う)のに、最終巻はもういろいろとリミッター外しすぎ。笑ったからいいけど(適当) そんな、平安情緒もへったくれもない軽いノリのシリーズですが、各話とも真面目に押さえるところはちゃんと押さえてあるので、なんというか、無茶やバカやってるばかりではないという安心感はありますね。

 ちょっと不満、というか残念に思うのは、やはり最終巻の駆け足具合ですね。短編も一緒に収録されてるから、本編部分が実質中編ぐらいの分量だったような気がするんだよな……。暁信の「火事場の馬鹿力」の原因とかがちゃんと種明かしされたのは良かったですが、それももう少し早くから匂わせてあったら……いやいや、どうせ○○○ネタならもういっそ全員登場させて……とか、いろいろと考えてしまいます。好みの問題ですけどね。

 ……ところで、巻が進むにつれて多佳子様最強伝説が更新されていく!と思ったのはきっと私だけではないと思いたい。

作品名 : 月の船 星の林 地獄の花嫁がやってきた
    【 amazon , honto
著者名 : 瀬川貴次
出版社 : 集英社コバルト文庫(集英社)
ISBN  : 978-4-08-601338-3
発行日 : 2009/10/2

『世界画廊の住人 地下迷宮の物語』[栗原ちひろ/幻狼FANTASIA NOVELS]

 綺麗に終わってるので続編はないだろうなぁ思っていた『世界画廊の住人』、まさかの続編。今回主役となるのは1巻では敵役……というか主人公たちとは立場を異にしていた錬金術師カルヴァス。前回の出来事で世界が「開いた」結果、それまで所属していた深淵派を抜けたカルヴァス。故郷へと足を向けた彼は、そこで奇妙な出来事に巻き込まれ……というのが、今回エピソードのざっとしたあらすじ。

 相変わらず、ちょっと踏み込んで感想を書こうとすると即ネタばれ警報が発令される作品だ……。えーと、ネタバレしない範囲で感想をいうと、基本的に根暗というか余計なことを考え過ぎる性質のカルヴァスが、本人は別に積極的に動いてないのに状況に流されたりなんなりしているうちに、ふと気がついたら故郷の町を侵す異変に対峙する羽目になってるのが面白かったというか。カルヴァスって難儀な性格だけど、根っこのところでは健全(といっていいのか、ちょっと悩むところではある)な人だよなぁ、とか思いつつ読んでました。あと、後半で登場したセツリたちは、それなりに苦労しつつも楽しくやってるようで良かったです。
 ちょっと話に絡んだ感想。今回の話は「絵画」に加えて「物語」もキーワードになっていて、徐々にその演出が見えてくるのがなかなかに興味深かったです。カルヴァス達が「迷宮」を進んでいく様子や最後の「反転」の場面とか、あのあたりの場面が好き。「創造主」との対話は、まだ「上」があるの!?と思ったりした。
 そうそう、「生きている」カルヴァスと「死んでしまった」フラーメアとの対話があったのはなんとなく嬉しかったです。あの二人の奇妙な依存関係が、わりに印象的だったので。「おかしくなるほど絶望しただけ」という一文が、カルヴァスがフラーメアに抱いていた特別な感情(それが愛であるかどうかはさておき)を思わせて、なんだかしんみり。

 今回のエピソードも多少余韻を残しつつもすっきり完結したので、これ以上は続かないかな……とも思いますが、それを言うなら前回もそうだったし。またそのうち、この世界の別の場所を舞台に、別の人を主役にした、別の物語が読めるかも?

作品名 : 世界画廊の住人 地下迷宮の物語
    【 amazon , BOOKWALKER , honto
著者名 : 栗原ちひろ
出版社 : 幻狼FANTASIA NOVELS(幻冬舎)
ISBN  : 978-4-344-81840-8
発行日 : 2009/12/28

『金星特急1』[嬉野君/新書館ウィングス文庫]

年に一度、忽然と現れ、そして消失する「金星特急」。謎の美女・金星の花婿を選ぶという目的のほかは、行先も何もかも不明な特急電車が、今年は東京駅に現れた。金星の写真に一目惚れし、特急に乗りこむべく東京駅にやってきた高校生の錆丸は、同じくホームに現れた砂鉄、ユースタスと知り合う。なりゆきで同じ個室に乗り込んだ三人の、冒険の旅が始まった!

 「パートタイムナニー」『ペテン師一山400円』に続いての嬉野君さんの新作。これまで同様コメディかと思いきや、一寸先は闇どころか何が起きるか分からない列車に乗り込んだ面々の冒険ものでした。

 1巻はオーソドックスに導入編という感じ。錆丸達3人の人となりを説明しつつ、決して安穏としたものではない特急の旅路(突然どかんと車両が中の花婿候補ごと?潰れてしまうとか)が語られていきます。特急絡みだけでも、特急は本当に金星の婿選びのためのものなのかとか、花婿の選別基準が何かあるのかとか、白バベル黒バベルの存在とか謎だらけ。
 さらに舞台設定も、単純に現代or近未来設定ぐらいかしらと思っていたら、どうも歴史が「現実」のそれとは違っているようだし。単なるパラレルワールド設定なのか、それともこのあたりの差異も話に絡んでくるのかなぁ……とかいろいろ深読みしてみたり。
 登場人物関係は、錆丸はまぁ、おおよそ素のままかもしれませんが、砂鉄やユースタス、そして月長石は単純に金星の婿となるのが目的ではないでしょうし……うーむ、あらゆる方面で謎が多すぎる。

 途中乗車も途中下車も認められないシビアな旅で、この先どんな冒険行が繰り広げられるのか。先が全く読めないだけに単純にどうなるんだろう!と気になりますね。

作品名 : 金星特急1
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著者名 : 嬉野君
出版社 : 新書館ウィングス文庫(新書館)
ISBN  : 978-4-403-54148-3
発行日 : 2010/1/9