かつて恩を受けた瓜二つの姫君シレイネの身代わりとして敵国に輿入れすることになったフェルディアが目指せ円満離婚!と策略家として名高い夫(仮)クロウ相手に奮闘する(?)ラブコメ劇第2巻。
今回は、フェルとクロウが仲良く(?)離婚をかけた勝負を繰り広げていた最中、「冬至の試練」にかこつけてフェルの育ての親である修道院長ガウェインが襲来!というわけで、姑(※男です)と仮夫のバトルも同時進行することに。
フェルにとって一番大事な家族であるガウェインにもやもやして、さらにフェルの口走った嘘にぷっつんきての壁ドンっ!がとても美味しかったです。とてもとても美味しかったです。そのあとのフェルの容赦ない反撃も含めてあのシーン大好き(笑) あとは、目が死んだ→自制が切れたのコンボもにやにやにやにや。フェルにべたぼれながらSな態度に出てしまう旦那様&クロウに惹かれつつもまだ帰りたいが勝る上に微妙にずれてるフェルのほどよくすれ違ったやりとりは、実によいラブコメでした。ゲスト(?)の院長先生のキャラもまたよかった。お姉言葉にはそんな事情が、とか、フェルトの絆とか。彼が発したクロウは聞こえなかったあの言葉は読者としても「そりゃもっともだ」と思うところなので、そのあたりの解決法が用意されているのかなーなどと気になったりもした。
で、最後になって今回の一件の黒幕と思しきお方の姿が……フェルの印象よりもクロウの印象のほうが実像に近そうな感じですねぇ。フェル自身にも何かありそうなほのめかしもあったし、次はどんな展開が待っているのか気になるところです。
『封殺鬼 クダンノ如シ(下)』[霜島ケイ/小学館ルルル文庫]
長編伝奇シリーズ「封殺鬼」、神島桐子主役の昭和編エピソード最終巻。桐子編は、これで一区切りのようです。
読了後はいろんな意味で「うわああああああっ!」と叫ぶしかなかったです。
とりあえず、メインの物語と平行して描かれた三人の乙女たちの恋模様は、妙子と中尉の結末に、これしかなかったのだろうと納得はしつつも切ない気分になり、朔と清香はこれでスタートラインに立ったってことですよねとニヤニヤし、桐子と志郎は問答無用で床ローリングでした。青春だなまったく! ただ一つ言うのなら、志郎……これまでもちょこちょこ失敗はしつつ、それでも飄々と桐子を助け支えとなってきた彼の、人生最大の失敗はあそこであれを言ったことだよ、としみじみ。それを受けての桐子の発言に、天狗編で描かれた「その時」の描写を思い出して、泣きそうになりました……。
一方、学園に封じられた魔性、妙子の内に封じられた魔性を巡る物語は……ああ、なるほど、と苦い気持ちに。結局、いつの世も一番怖いのは人の心か。人ならぬ存在は、ただその在り方を、最初の約束を貫くのみで……嗚呼。それにしても、中尉の推測という形で明かされた穂積宗一郎の思惑は、完全に予想外だったのでぽかんとしました。そうか、そもそもの前提条件が違うんだから、そりゃあ随所でちぐはぐな印象を受けるわな(笑)
さて。桐子と志郎の物語はこれでひとまず幕が降りましたが、「封殺鬼」シリーズそのものはこれからも続いていくと見ていいのかな。使役から解放された鬼ふたりの諸国漫遊記とか、そのうちに読めるといいなーと思います。
「好きなライトノベルを投票しよう!! 2012年上期」に投票してみる。
いちせさん主宰の「好きなライトノベルを投票しよう!! 2012年上期」に投票します。
ほぼ完成していた記事の下書きがPCフリーズで飛んで心が折れたので、投票コードのみです……。
あ、それからレーベル廃刊になった作品も混ざってますが、期間内だし気にしない方向で。いつかどこかで復活すると良いんだ。
“「好きなライトノベルを投票しよう!! 2012年上期」に投票してみる。” の続きを読む
オンライン書店開拓中。
『(仮)花嫁のやんごとなき事情~離婚できたら一攫千金!~』[夕鷺かのう/B’s-Log文庫]
夕鷺かのうさんの新作は、ここ最近少女小説の主流となっている姫嫁もの……ですが、やはりこの作者さんだけあって少しばかり毛色の違った話でした。
かつて恩を受けた瓜二つの姫君シレイネの身代わりとして、敵国に輿入れすることになったフェルディア。果たして彼女は「白い結婚」の間に策略家として名高い夫(仮)、クロウと離婚することが出来るのか!?と、まぁ導入はそんな感じ。
展開的には、この手のお話の王道に近い印象でしたが、とりあえずフェルが良い主人公でした。わりと万能というか器用貧乏というか、大抵のことには自力で対処できる能力の持ち主。書き方によっては引っかかりを覚えそうなものですが、身代わり訓練を突貫で受けたものの根っからの庶民でほどよく世間慣れしている、嫌みのないからっとした性格のお嬢さんなので、そのあたりは問題なく読み進めることが出来たので良し。また、彼女が侍女を助けるためにみせた行動は小気味がいいし、「シレイネ姫」と「召使フェル」では態度ががらりと変わる夫(仮)・クロウに戸惑いつつ惹かれていく過程にはニヤニヤしました。中でも一番印象的だったのは、やっぱり旦那様のピンチに飛び込んできたシーンかなー。あそこは挿絵効果もあってインパクト大。男前ヒロインは良いものです。
一方、彼女の相方となる旦那様はというと、今巻では明らかになってない事情も抱えていそうな、ドSというかひねくれ者系というか。まぁなんというか、途中で絶対気がついてるよなこれ!と思ってたら案の定だったことが終盤で明かされて、それを踏まえて再読したら、いろんなシーンでまたニヤニヤできました。
一冊完結でも問題のない作りにはなっていますが、最後の独白からしてこれから攻勢を掛けてくる(と思われる)クロウと彼に惹かれつつも基本的には円満に(?)離婚して故郷に帰るつもりでいるフェルの今後が気になるので、続きが出ればいいなーと思います。……あと、明らかに一筋縄ではいきそうにない本物のシレイネ姫(今回は回想や伝聞のみだった)とその兄であるユナイア王の暗躍にもちょっとばかり期待したいところ。