コミック三国志マガジン、今回はお休み。

…………まぁ確かに、前号の時点でそういう雰囲気はあったけど。
公式ブログで書かれている「新たな形態での発信」がどうなるのか分かりませんが、「火鳳燎原」と佐々木さんの魯粛シリーズはなんとかフォローして欲しいなーと心底思います。
……ああそういえば、「火鳳」27巻台湾ではもう発売になってるんだよな。そろそろ買いに行きたいな……(←既に台湾旅行のついでに「火鳳」を買う、ではなく「火鳳」を買うために台湾に行く、という意識になりかかってる人)

『烏金』[西條奈加/光文社]

金貸しを営み、「因業婆」と近所で評判のお吟。取り立て先で押し問答となっていたところ、ふいに現れた浅吉という若者にその場を助けられる。火事で焼け出され、職がないという浅吉は、興味を持ったと金貸し業の手伝いを申し出た。新しい発想で次々と焦げ付いた借金をきれいにし、貧乏人たちを助けつつ利益を上げていく浅吉に、いつしかお吟も気を許し始める。しかし浅吉には実は秘密の目的があり、大金を手に入れるために素性を偽ってお吟に近づいたのだった……。

 「金春屋ゴメス」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビューした作家さん。「金春屋」は近未来の江戸を模した「江戸国」を舞台にしていましたが、今回は普通に江戸が舞台の時代小説。

 最近のファンノベ大賞受賞者は個性が薄めでいまいち物足りないなぁなどと思っていましたが、ちょっと見直したというか。やっぱり大賞受賞者となると標準レベル(個人的認識)はクリアしてくるし、話自体は面白いなぁとしみじみ思いました(←微妙に失礼な言い草)
 極個人的な雑感はさておき、この作品の感想。帯に「企業アドバイザー」という文字が躍ってましたが、確かにそんな感じ。浅吉が柔軟な発想を武器に、返済が滞っている人々の商売に手を入れたりして利益を上げていく過程は、多少上手くいきすぎな感もありますがそれでもなかなか面白いと思いました。そして、互いとのやりとりで浅吉やお吟、そして借財人たちの意識が変わっていくのは、お約束とはいえやはり良いものです。
 浅吉の本当の目的については、最初は単純にお吟のせいで一家離散の憂き目にでも遭ったんだろうかと思いましたが、読んでいくうちにどうも違うっぽいなぁと思いはじめ。最後になってそれが明かされた時は、あーそういうことかと妙に納得。いや、二人の関係については中盤でもしやと思ってたけど、目的のほうはいくら思わせぶりな描写があってもちょっと分からないよなぁ。

 最後まで楽しく読めて満足でした。続編は……この巻で綺麗に完結してるから無理かと思うけど、光文社的には結構乗り気な感じ? まぁ、もしもがあるならその後のお吟たちの商売、あるいは浅吉の奮闘を読んでみたいとは思います。あと、「金春屋」のほうも続きがそろそろ読みたいなーと思ったり思わなかったり。

作品名 : 烏金
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著者名 : 西條奈加
出版社 : 光文社
ISBN  : 978-4-334-92563-5 → 978-4-334-74702-2
発行日 : 2007/7 → 2009/12/8(文庫化)

アニメ版「バッカーノ!」第1話。

とりあえず見ました。
時系列がわりとシャッフルされてるけど、基本は1931と1932で、という感じですか。しかし、原作既読なので普通に楽しめましたが、未読の人はどうだったのでしょうか。
あと、第1話ではエグめな描写もしっかりされてましたが、この先はどこまでやるのかが気になるところ。(だって、某葡萄酒が本気で暴れだしたら……ねぇ?)

SFにはむしろ疎いほう。

世の中には世界SF大会というイベントが存在するそうで。それが今年は日本で開催されるそうで
それだけなら、へぇーという一言で終わるのですが、問題は企画。とりあえず、好きな作家が出演するのだけ抜き出してみた。

「魅惑のジュブナイルSFの世界へようこそ」パネラー:野尻抱介他
「テッド・チャンインタビュー in Japan」パネラー:テッド・チャン他
「未来の女性たち 一部」出演者:新井素子他
「未来の女性たち 二部」出演者:粕谷知世、小林めぐみ他
「ヲタクエクスプレス 東京発モスクワ行き(ロシア SF)」出演者:高野史緒他
「アジアのSFと周辺事情~現状を語る」出演者:狩野あざみ他
「星新一とは何者だったのか」出演者:新井素子他
「朗読会(日本語企画)」出演者:梶尾真治、北野勇作他
「スチームパンク/歴史改変」出演者:宇月原晴明、高野史緒他
「ハードSFの楽しみ(日本語企画)」出演者:野尻抱介他
「異世界ファンタジーと大長編世界(日本語基本のバイリンガル)」出演者:妹尾由布子他
「幻想と怪奇(日本語企画)」出演者:牧野修、山之口洋他

…………えーと、なにこの(私にとって)極悪な布陣。そんなにSF好きというわけじゃないのにうっかり参加したくなってくるんですが。仕事がちょうど忙しい時期なので厳しいけど。でもせめて、宇月原氏出演の企画だけは聞きに行きたいかも……

『BLACK BLOOD BROTHERS (S)4 -ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集-』[あざの耕平/富士見ファンタジア文庫]

 吸血鬼と人間の共存地帯『特区』を舞台にした吸血鬼と人間たちの物語、「BBB」シリーズ短編集第4巻。

 作中時間では、長編5巻以後6巻以前。カンパニーをクビになったミミコのフリーター編(限りなく無職に近い)というか受難編というかクイーンM編というか(笑) 長編ではあれだけシリアス展開で魅せてくれたのに、短編はこれですかと思わず言いたくなりました。いや、面白かったですけど。
 しかし、ミミコがただ駄目人間と化す(←酷)だけでは終わらず、こういうところが本編での活躍に繋がっていくんだなーと思わせる描写もあり、そういう意味でも面白く読めました。まぁ、まだまだ苦労は続くようですが頑張れミミコ(←超適当な応援)

 過去編となる「暗き森の奥で」は、第二次大戦中のドイツでの話。徐々に香港に至る道筋が見えてきた感じです。あと、某呼び名が「靴」の古血の暗躍振りに、もうこの吸血鬼がラスボスでもいいんじゃないかとちょっと思った。

作品名 : BLACK BLOOD BROTHERS (S)4 -ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集-
    【 amazon , BOOKWALKER , honto
著者名 : あざの耕平
出版社 : 富士見ファンタジア文庫(富士見書房)
ISBN  : 978-4-8291-1943-3
発行日 : 2007/7