『遺産相続ゲーム 地獄の喜劇』[ミヒャエル・エンデ/岩波現代文庫]【amazon ・ boople ・ bk1】
『妖怪アパートの幽雅な日常1』[香月日輪/講談社文庫]【amazon ・ boople ・ bk1】
『マーベラス・ツインズ契3 いつわりの仮面』[古龍/GAMECITY文庫]【amazon ・ boople ・ bk1】
『BLACK BLOOD BROTHERS (S)6 -ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集-』[あざの耕平/富士見ファンタジア文庫]【amazon ・ boople ・ bk1】
『柳生陰陽剣』[荒山徹/新潮文庫]
人によっては麻薬並みの中毒性を持つ猛毒、じゃなくて独特の作風で評判のトンデモ……じゃなくて伝奇小説作家・荒山徹氏。その作品の中でも、いろんな意味でトップクラスにひどいよこれ(褒め言葉)と思われる『柳生雨月抄』が改題して文庫化。ああちなみに、荒山作品に多少慣れてるならともかく、あまり耐性がないor初体験にこの作品を手に取ることは個人的に全くオススメしませんのであしからず(←おい)
内容を要約すると、陰陽術・剣術ともに超一流の技を修めた最強ヒーロー・柳生友景があの手この手で日本侵略を狙う悪の朝鮮妖術師が率いる組織と闘う連作短編集(要約しすぎ) ……改めて文章にするとどうしようもなくアレな話だよなぁと、今更ながらしみじみ思った……。えーとちなみに、短編集『十兵衛両断』に収録されている「太閤呪殺陣」の続編ともいえる作品であり、先日同じく文庫化された『柳生薔薇剣』と若干のリンクがあり。読む順番的には、『両断』→『陰陽』→『薔薇』(→『百合』)。
ネタ部分があんまりにもあんまりすぎるのでうっかり忘れてしまいそうになるんですが、実は基本のストーリィラインは普通に面白い伝奇小説だったりします。主人公が最強すぎてあまりピンチに陥らないのでそういう方面ではやや物足りなさもありますが、最初から最後まで無茶苦茶やっていながら最後には史実にあわせて落としてくるあたりは普通に巧いと思うし。
しかし、繰り返して言いますが、ネタ部分があんまりにもあんまりすぎる。そのおかげでいろいろと台無しになるのが荒山作品クオリティなのですが、この作品もその例にもれず。とりあえず妖術とか霊的とかいえば何でもおっけー状態なのはいつものことだからいいとして(いいのか)、某日本史上最凶級の大怨霊の改心を筆頭に、いくらなんでもモ○ラはないんじゃないかとかどこの特撮映画だよという巨大生物とかなにかヅ○に恨みでもあるのかそれとも逆に好きだからこそこうなるのかとか生首は酷過ぎるだろうとか、ツッコミどころが多すぎて多すぎて。読んでて笑いの発作に襲われること必至。
まぁそんなこんなで、ネタ部分のあまりのひどさに頭を抱えたり爆笑させられながら、奇をてらうだけにとどまらず、やりたい放題な展開の影でしっかり繰り広げられている人間ドラマ等は普通に面白くて、時にはあーそういうふうに繋げるのかーと感心したりうっかり感動してしまいそうになるという(うっかりかよ) なんというか、つくづく性質が悪いというか理不尽だよなーとしみじみ思わされる怪……もとい力作です。
『甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖1』[山田風太郎/講談社文庫]
一世を風靡した山田風太郎忍法帖シリーズ、記念すべき第1作目。50年も前の作品にもかかわらず今でも色褪せない面白さで、作者自己評価「A」も納得の傑作。
ざっくりしたあらすじは、徳川幕府第3代将軍を孫の竹千代・国千代のどちらにすべきか決めかねた家康は、長年憎み合っているという甲賀・伊賀の忍者一族からそれぞれ精鋭10名を選んで相争わせ、勝ち残った陣営が旗印としていたほうを次代将軍にする、と命を下す。不戦の約定を解かれた甲賀・伊賀の忍者たちは、その目的も知らぬまま血で血を洗う戦いを繰り広げていく、というもの。
甲賀・伊賀の宿怨、異能者たちの凄惨な戦い、その狭間で浮かび上がる個々人の感情などなど。まさにシンプル・イズ・ベストというべきか。無駄のない構成に加えて、以降の忍法帖でも継承されている諸々の要素が凝縮されていて、ページ数がさほどあるわけでもないのにその読みごたえは並の本では追いつかないんじゃないかというほど。
それぞれ超絶の異能を誇る忍者同士の戦いは、正々堂々正面から討ち果たすよりも、騙し討ち上等というと語弊はあるけどあれこれ策を巡らし搦め手から相手を討ちとっていくというのが大半ということもあって、単純な戦闘能力の優劣で勝敗が決まらないので最後まで先の読めない面白さがあります。戦闘能力は特筆するほど優れているわけではないだろうはず(多分)の人がアシスト含めると最大の功労者だったりするし、一方で最強の能力を持つ人がその切り札を封じられて最終盤まで無能力と化したりするし。そういう相性というか、組み合わせの妙がまた格別の面白さを演出してくれています。
選ばれた者たちが次々に斃れてゆき、最後に対峙することになるのは互いに想い合う男女二人。その哀しい戦いの行く末は、彼らなりのせめてもの意趣返しだったのでしょうか。無情なまでにあっさりと幕を下ろす物語は、それ故になんともいえない哀愁・余韻が残ります。
ちなみに、せがわまさき氏によるコミック版(『バジリスク 甲賀忍法帖』全5巻:文庫版全3巻[講談社刊])及びコミック版を下敷きにしたアニメ版(OP・ED曲も内容・雰囲気ともに良い)は、アレンジ部分を含めてコアな山風ファンからもおおむね好評価を受けています(私の場合、丈助VS陣五郎はなるほどそう描くか!と感動した。あと兄様が原作とはまた一味違った素敵なキャラになってるのもぐー) それぞれの差異を楽しむのも面白いと思いますので、興味のある方は是非。
0810購入メモ(その1)。
『ボディ・アンド・ソウル』[古川日出男/河出文庫]【amazon ・ boople ・ bk1】
『飛狐外伝3 風に散る花』[金庸/徳間文庫]【amazon ・ boople ・ bk1】
『三国志1』[宮城谷昌光/文春文庫]【amazon ・ boople ・ bk1】
『三国志2』[宮城谷昌光/文春文庫]【amazon ・ boople ・ bk1】
『アルスラーン戦記13 蛇王再臨』[田中芳樹/光文社カッパ・ノベルス]【amazon ・ boople ・ bk1】
『天と地の守り人 第1部 ロタ王国編』[上橋菜穂子/偕成社ポッシュ軽装版]【amazon ・ boople ・ bk1】
『風の邦、星の渚 レーズスフェント興亡記』[小川一水/角川春樹事務所]【amazon ・ boople ・ bk1】
『バジリスク 甲賀忍法帖(下)』[山田風太郎(原作)・せがわまさき/講談社漫画文庫]【amazon ・ boople ・ bk1】
2008年11月の購入予定。
毎月恒例、購入ほぼ確定組の自分用備忘録。
“2008年11月の購入予定。” の続きを読む