宝塚宙組「アナスタシア」を観た話。

リスケジュールにより当初の予定から数ヶ月遅れで開演となった、宙組公演「アナスタシア」。
思い返せば4月。良席がご用意されていた同タイトルBW版の日本初演が新コロのせいで大阪公演全中止となり涙に暮れたあの日の悲しみを浄化するべく、観劇はよほどでなければ当面1公演1回or1日だけの自分ルールに特例を設けてA・Bパターンで2回観劇してまいりました。以下、あまり難しいことは考えてない感想。
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『白澤さんの妖しいお料理処 四千年の想いを秘めた肉じゃが』[夕鷺かのう/富士見L文庫]

「ほとんど命運が尽きている」と占いで余命宣告されてしまった、受難体質の楠城湊。状況を打開するべく占い師のアドバイスに従い神戸の大学に進学した彼女は、引っ越し間もないある日、迷い込んだ路地裏の料理処で美貌の店主・白澤と出会い――と、そんな導入で始まる妖怪&お店もの。

帯に「簡単レシピあり〼」と書くなら、作中の説明だけじゃなくて巻末にまとめたページ作ろう!?と思わずツッコミいれてしまったのは私だけじゃないと思う。まあそれはさておき。
主人公の湊は受難体質とはいえ思考がポジティブかつ地の文の語りがわりとテンション高めなこともあってか、楽しく一気読みしました。
内容としては、1冊目でメインメンバーの紹介編で終わっている印象。また、思ってたよりお店要素薄めで妖怪方面も中国由縁限定でそこまでがっつりということもなく、ちょっとつかみは弱めかも。巻を重ねれば盛り上がっていくだろうと期待。
あと、あらすじ段階では表に出てこなかった湊と白澤さんの関係。作中の描写からすると、まだなにか裏がありそうな感じですが……ともあれ、湊と白澤さんの関係がどうなるのか、もしも「彼女」の記憶が戻ったとき当代の「彼女」はどうなるのか等気になるので、遠からずで続刊が発売されるといいなあ。

作品名 : 白澤さんの妖しいお料理処 四千年の想いを秘めた肉じゃが
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著者名 : 夕鷺かのう
出版社 : 富士見L文庫(KADOKAWA)
ISBN  : 978-4-04-073846-8
発行日 : 2020/10/15

『エリスの聖杯 3』[常磐くじら/GAノベル]

十年前に冤罪で処刑された公爵令嬢スカーレット・カスティエルの亡霊と、誠実が家訓の地味な子爵令嬢コンスタンス・グレイル(愛称コニー)。性格も考え方もまるで違う凸凹コンビが、スカーレットの「復讐」のために十年前の事件の真相を探るうち、国を脅かす巨大な陰謀に足を踏み入っていく、「小説家になろう」発のクライム・サスペンス3巻&本編完結。

2巻収録分で十年前に起きていた事件の真相が読者にはおおよそ明らかになっていましたが、3巻開始早々にスカーレットとコニーもその真相を察することに。流石に気落ちしている風なスカーレットを見たコニーの、間髪置かずの提案。さらに、雨の中墓の前でひとり俯く婚約者のランドルフへの反応。こういうことをごく自然にできるコニーだからこそ築くことができた関係があって、彼女が敵の罠にかかって処刑という状況に追い詰められたときにそれが発揮される展開にも納得感。
あと、前からだったけど今回も女性陣が強いこと強いこと。セシリア王太子妃も、なぜ彼女がそういう生き方を選んだのかが語られた上でのあの選択……彼女が大なり小なり関わってきただろう行いは無論許されるものではないけれど、それでも、本人が納得して駆け抜けた先に見た人々の幻影に少し心が慰められました。あと、ルチア・オブライエン嬢が最高。え、エピローグで触れられた夏の旅行(予定)で彼女を主役にしたスピンオフとかありませんか(現状、ありません) あ、忘れちゃいけない、ハームズワース子爵ランクアップおめでとうございます(?)

さて。十年前に端を発した陰謀はこれにて終幕となりましたが、「復讐」という名のコニーとスカーレットの凹凸コンビ+ランドルフ閣下の賑やかな日々はまだまだ続いていく様子。とりあえず「なろう」に掲載されている後日談はそのうち書籍化されると嬉しいなあ。

作品名 : エリスの聖杯 3
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著者名 : 常磐くじら
出版社 : GAノベル(SBクリエイティブ)
ISBN  : 978-4-8156-0769-2
発行日 : 2020/10/15

宝塚月組「WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-/ピガール狂騒曲」を観た話。

思い返せば5月。初めて友の会が大親友になってくれた(訳:SS席がご用意された)のに、感染症対策→緊急事態宣言に伴う公演中止(後日リスケジュール決定)・払い戻しとなり、新コロ絶対許さねえ……!と強く心に誓ったあの日からほぼ5ヶ月。席数減らされてるから難しいだろうなあと半分諦め気分だったのに、またもや友の会が微笑んでくれたので念願のSS席で観劇してきました! 以下、あまり難しいことは考えてない感想。
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『京都烏丸のいつもの焼き菓子 母に贈る酒粕フィナンシェ』[古池ねじ/富士見L文庫]

バターと砂糖をたっぷり使った昔ながらの製法に和の食材を合わせた、京都烏丸の一風変わった焼き菓子店「初」。感じの良いかわいい女性店員と、愛想のない青年の菓子職人が営む小さな店に足を運ぶ人々の楽しいことも悲しいこともある平凡で豊かな日常と、お菓子を巡る短編集。

焼き菓子好きとしてちょっと興味を惹かれる美味しそうな表紙につられて購入。
なんだかんだ人気ジャンルなお仕事&食べ物ほっこり系の短編集かと思って読み始め、たしかにそういう要素もあったんですが、それだけじゃなく。収録されている4話とも、各話の視点人物の歩んできた時間や培った考え・想いに寄り添いながら、だからこそ彼・彼女の悩みに魔法のような解決が示されるわけではない。簡単に解決するものでもないわだかまりは、とりあえずそのままにしておいても人間は前に進んでいけるものだし、あるいは何かのきっかけでちょっとは歩み寄る余地が見つかるかもしれない。そんな感じで、綺麗事で終わらないどこかリアルな感触があるというか、多かれ少なかれ「わかるわー」となる短編集でした。
あと焼き菓子の描写がとても美味しそうで、「本当にこんな店あったら常連になるわー」と思いましたね。

最終話で少しお互いの事情に踏み込んだ菓子職人(兼店長)さんと店員さん。共に過ごした時間の分だけ良きコンビとなりつつある彼らの大切な店とお菓子が呼び覚ます、別の日常の物語をいつかまた読めたらいいな、と思います。

作品名 : 『京都烏丸のいつもの焼き菓子 母に贈る酒粕フィナンシェ
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著者名 : 古池ねじ
出版社 : 富士見L文庫(KADOKAWA)
ISBN  : 978-4-04-073804-8
発行日 : 2020/9/15