『ヴィクトリア・ウィナー・オーストウェン王妃は世界で一番偉そうである』[海月崎まつり/Kラノベブックスf]

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流行の悪役令嬢ものの型を下敷きにした、悪役令嬢通り越して女王様・覇王様なビクトリアとその伴侶となるフレデリック(王子→国王)、そして周囲の人々が繰り広げるコメディ。「小説家になろう」掲載作です。

プロローグでフレデリックが婚約破棄を言い出したあとの、ヴィクトリアの返答から怒涛の勢いで事態を収束させていく流れがもう楽しくて仕方なかったです。各話の基本的な流れとしては、とてつもなく有能で鋼のポジティブメンタルのヴィクトリアが、覇王オーラで周囲を魅了しぐいぐい問題解決に話を持っていくというもの。登場人物たちの行動にツッコミ入れまくりの地の文も含めて、ある種お約束的なコントというか新喜劇というか、まあそんな感覚で読めました。
また、そんなヴィクトリアが幼い頃からフレデリック一筋で(本人曰く「殺すほど愛している」)、フレデリックもなんだかんだヴィクトリアを愛している関係が頻繁に描かれるのにとてもニコニコしました。壁ドンとか押し倒しとかすぐ積極的な行動に移る肉食系王妃とそんな王妃にときめく小動物系王様の組み合わせ、実に良きもの。

この調子で今後も突き進んでいくんだろうなー的な、みんなハッピーな雰囲気で幕。最後まで楽しく読めた作品でした。

作品名 : ヴィクトリア・ウィナー・オーストウェン王妃は世界で一番偉そうである
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著者名 : 海月崎まつり
出版社 : Kラノベブックスf(講談社)
ISBN  : 978-4-06-522501-1
発行日 : 2021/7/2

省エネモードで生存中。

今年に入ってもあいかわらず新コロ憎しの日々が続いていますが、如何お過ごしでしょうか。私は3度目の非常事態宣言で楽しみにしていた舞台が残念ながらいくつも中止となったことにショックを受けているうちに、5月6月が終わってしまったような……これで宝塚月組まで幕が上がらなかったら精神状態やばいことになってただろうなあ、と思ったり思わなかったり。
とはいえ、世の中ワクチン接種も徐々に進みだしてるし、もうしばらく辛抱したら状況好転すると信じて、2021年後半に突入する来月からはぼちぼち頭を切り替えていきたいところです。

『ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人4』[小湊悠貴/集英社オレンジ文庫]

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横浜の小さなホテルを舞台に、パン職人(ブーランジェール)・紗良と周りのスタッフや来訪者たちが織りなす物語、順調に巻を重ねて4冊目。

今回収録されていた4編のゲストは紗良の兄、コンシェルジュ・要の義妹、要の母にしてオーナー・綾乃の姉、シェフ・天宮の兄と、狙ってだろうけれど、ホテルの中心人物たちの兄弟姉妹。各話で起きる(あるいは語られる)それぞれの関係性に、身内だからこそのいろいろもあるよねえ……と思わされつつ、素敵なおもてなしのホテルと美味しい料理とパンに気づいたら心が解されているというか。最後は前向きに幕を閉じるあたたかい物語に、こちらも元気を分けてもらった気分。……それにしても紗良のお兄さん、登場時は嫌味なキャラかと思いきや……素敵なパートナーと出会ってほしい。

さて、紗良が要を意識しはじめていることは明確になったけれど、要のほうは1巻で明らかになってるややこしい出自の関係かそれとも以前の彼女の関係か、ともあれなにか思うところがありそうで。今後、この二人の関係がどうなっていくのかも気になるところ。

作品名 : ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人4
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著者名 : 小湊悠貴
出版社 : 集英社オレンジ文庫(集英社)
ISBN  : 978-4-08-680375-5
発行日 : 2021/4/25

『やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中 3』[永瀬さらさ/角川ビーンズ文庫]

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命を落とす間際、6年前に逆行した(記憶はそのまま)令嬢ジル。2度目の人生で破滅を回避し、婚約者となったかつての敵国の皇帝とともに幸せを掴もうと奮闘する最強令嬢の物語、第3巻。

今回は、2巻の事件が関連して発生した内乱(未遂)に、卵から孵った竜の王(=ハディスの心)の養育やらハディスの兄弟姉妹たちとの関係やらが絡んだ内容に。
ジルがかっこいいのはいつもどおりとして、今回は旦那様も頑張ってました。というか、1度目はこの時点でかなり精神的に摩耗していたんだろうハディスが、ジルの影響を受けて、良い皇帝になろう、良い国を作ろうと自分の意志で考えるようになっているのに、成長を感じます。そういう彼の変化が、ラーデアの人々やサウス将軍とその部下たちにもちゃんと伝わったこと結果、良い方向に進んだことがまた嬉しい。……とはいえ、あそこで持ち出す方便がパン屋修行なあたりは脱力してしまいますね。らしいといえばそうなんだけど。
新しく登場した兄弟姉妹の関係では、未来を知るジルにとっては最大級の警戒対象になるヴィッセルのだんだん明らかになる拗らせ具合には、まあかつての真意はそういうことだったんだろうと予想していたとはいえそうならざるを得なかった彼の心情に思いを馳せてしまいましたね……。あと、ナターリエとフリーダをクッキーで餌付けしようと試みるハディスに笑った。人見知りのフリーダとのエピローグでのやり取りにまた大笑い。

ともあれ、これでラーヴェ帝国内部のゴタゴタはある程度片付いたのかな、という印象。第一部完、みたいな。まあ、年の近い兄弟姉妹たちがある程度関係改善しただけだから、まだ三公やらもしかしたら前皇帝やらが引っ掻き回す可能性はありますが。それと、忘れちゃいけない女神とクレイトス王国とのいざこざ。今回は、クレイトス現国王のルーファス(通称・南国王)が登場したわけですが、また例によって思わせぶりな発言を……。ジルが神器を手にしたときに流れた幻影といい、ラーヴェが「忘れて」女神が「覚えて」いる神話時代の出来事がどんなものなのか気になるところ。……しかし、今更言っても仕方ないけど、かつてのジェラルドがジルに少しでもこのあたりの因縁を話していたら(話せていたら?)、1度目も別の展開があったのかもなあ。

作品名 : やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中 3
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著者名 : 永瀬さらさ
出版社 : 角川ビーンズ文庫(KADOKAWA)
ISBN  : 978-4-04111135-2
発行日 : 2021/2/27