命を落とす間際、6年前に逆行した(記憶はそのまま)令嬢ジル。2度目の人生で破滅を回避し、婚約者となったかつての敵国の皇帝とともに幸せを掴もうと奮闘する最強令嬢の物語、第4巻。
3巻で帝国内というかハディスと兄姉妹たちとの関係が改善し、今回はジルの実家・サーヴェル家にご挨拶の巻。とはいえ、仮想敵国であるクレイトス王国の辺境伯を任じられているサーヴェル家への挨拶が一筋縄で行くはずもなく……。
「小説家になろう」で連載されていたときからそうでしたが、前半は「陛下のばか! 気持ちというか考えはわかるけどばか!」とか「あああサーヴェル家もクレイトス側もそうなるのはわかるけどーーー!!!」とか、まあかなりいろいろとフラストレーションが溜まる展開でしたが、それだけに後半のジルが爆発してからの展開が小気味よかったです。覚悟を決めた強い女の子、好き。また、今回はナターリエの知恵での戦いも印象的でした。「なろう」に掲載されている、ジルがやり直す前の「正史」では彼女の死がほぼ今回の展開と同じような流れで起きるだけにハラハラしましたが……最終的に、南国王から預かることになったあれが、今後に響いてくるんだろうな。なにより、ジェラルドと今度こそ良い感じになることもあるんだろうか。
そして、やはり気になるのは竜神と女神関連ですよ……本当に、何を忘れてるのラーヴェ様……と、新しい情報が見えてくるたびに頭を抱えてしまうんですが……。とりあえず、フェイリスの言葉からして、1度目はジルの死を起点に巻き戻ったわけではなさそうな? 彼女の死後も少し続いて、なにか決定的なことがあって女神が(おそらく一度だけの手段で)時間を巻き戻す&女神の槍で命を失った影響でジルの意識も引っ張られた感じなのかな。いずれにしても、クレイトス側も1度目とは異なる流れになっているのは間違いなく、今後どうなっていくのか気になります。……南国王もジェラルドも、いろいろと裏事情がわかってきた今、なんとか良い結末を迎えてほしいと思ってしまうんですよね……いや、1度目のジェラルドはそりゃあ弁解の余地なく最低最悪だけど、そこに至るまでは彼なりに足掻いてて、でも結局ああなってしまわざるを得なかったんだろうなーと思うし。