横浜の小さなホテルを舞台に、パン職人(ブーランジェール)・紗良と周りのスタッフや来訪者たちが織りなす物語、順調に巻を重ねて4冊目。
今回収録されていた4編のゲストは紗良の兄、コンシェルジュ・要の義妹、要の母にしてオーナー・綾乃の姉、シェフ・天宮の兄と、狙ってだろうけれど、ホテルの中心人物たちの兄弟姉妹。各話で起きる(あるいは語られる)それぞれの関係性に、身内だからこそのいろいろもあるよねえ……と思わされつつ、素敵なおもてなしのホテルと美味しい料理とパンに気づいたら心が解されているというか。最後は前向きに幕を閉じるあたたかい物語に、こちらも元気を分けてもらった気分。……それにしても紗良のお兄さん、登場時は嫌味なキャラかと思いきや……素敵なパートナーと出会ってほしい。
さて、紗良が要を意識しはじめていることは明確になったけれど、要のほうは1巻で明らかになってるややこしい出自の関係かそれとも以前の彼女の関係か、ともあれなにか思うところがありそうで。今後、この二人の関係がどうなっていくのかも気になるところ。
作品名 : ホテルクラシカル猫番館 横浜山手のパン職人4
著者名 : 小湊悠貴
出版社 : 集英社オレンジ文庫(集英社)
ISBN : 978-4-08-680375-5
発行日 : 2021/4/25