大河SFシリーズ最終章完結編。
冥王斑を持って銀河を席巻するミスチフ=オムニフロラ。太陽系人類が対抗手段として打ち出したのは、新たな「魅力的な種」を生み出すことだったが……という前巻の展開から、あと1冊でどう物語をたたむんだろうと思ったら! ここまできてまたそういうどんでん返しするのー!?と言いたくなるような展開からそれでも諦めないヒトたちの戦いとそれぞれの決着、そこからさらに先へと続いていく歩み、そして、人が抱く願い――と、これでもかというぐらいに1冊にいろいろと詰め込まれていた感じ。しかも、その詰め込み具合がバランスが良くて無理やりまとめた印象はないという。さすがに大局的な視点がやや増量された関係か、個々の物語の結末はご想像におまかせします、なところもあったけれど。
どこを語ってもネタバレになりそうなのですが、とりあえずお気に入りの場面は181p.でのアクリラの名乗りと、292p.でのリリーの宣言ですね。あと、断章九一の先にはどんな世界が広がっているのか、彼らの旅路を見てみたくなります。いつか何らかの形でサブエピソードとして発表してくださったら嬉しいなあ。そして、その名が10巻のサブタイトルにもなっている彼女のエピソードには、PART1で描かれた彼女の親友サイドのことも思い出して、ただ涙しました……
全10章17冊、約10年付き合ったシリーズの完結だけに、本を閉じたときは「ああ、読み終わってしまったんだなあ」と、ちょっとしんみりしつつ、この物語を書ききってくださった作者様に、最大級の感謝を捧げます。