大河SFシリーズ、三ヶ月連続刊行予定で進行中の最終章、2冊目。
物語としては、銀河を席巻するミスチフ=オムニフロラが無敵の存在ではないこと――その弱点と対抗策が示され、それを武器にカルミアンたちの母星カンムに集結する銀河諸族との交渉を行ったり、ドロテア攻略やミヒルとの決着等、MSSに集った人々がひとつの区切りに向かって粛々と、確実に進んでいるな、という展開。長いシリーズで張り巡らされた怒涛の伏線回収が始まった以上ある程度は仕方がないと思うけど、ものすごい勢いで流れていく部分も少なくないのがちょっと残念。とはいえ、イサリとミヒルの最期のやり取りや長い付き合いだった彼女との別れ等要所はしっかり描かれていたので満足でした。そんなセレス内での戦いとは別に、銀河諸族に対する交渉というかなんというかは本当に別種族なんだなーという描写を噛み砕きながら読んでいたら、不意のラゴスの「良い笑顔」で思わず吹き出してしまった。いやでも彼が笑顔になるのも分かるというか、ここにきてようやく4巻がシリーズのピースとしてはまった感が強いですね。いや、あの巻って「恋人たち(ラバーズ)」という存在の在り方を描くのに必要とは思うんですが、それでもちょっと異色というか浮いたような印象だったので……。それが、こうも綺麗に物語の中で機能するとはなあ。
さて。泣いても笑っても残り1冊。最後の一手となりそうなカドムとイサリ。青葉豊かな未来はもうすぐ手が届きそうなところまできていると感じますが、長い旅の終着点がどのように描かれるのか。間もなく発売のPart3が待ち遠しい。