『茅田砂胡全仕事』以来となるデルフィニア戦記外伝。雑誌「BOC」で連載されていた作品をまとめた連作集になっています。………どうでもいいけど、今年は懐かしい・しばらくご無沙汰だったシリーズの続編が発売される率が高い気がする。
今回収録されている作品は、「紅蓮の夢」(『茅田砂胡全仕事』収録)の補足的なお話。10年ぶりにデルフィニアに「降臨」した王妃と相棒、侍女を迎えたデルフィニアの人々の賑やかで輝かしい数日間が、様々な目線から描かれています。本編終了時にはまだいなかった子どもたち(たくさん)の視点もよく出てくるため、「これは誰の子供だっけ?」となることがしばしばありましたが、まあ、間違いに途中まで気が付かなくても致命的な問題にはならなかったからいいかという適当な気持ち。
あと、金銀黒三人組が前面に出るかたちではないことに加えて、剣の世界であるデルフィニアの人々の価値観で語られるためか、後の作品でやや鼻についたリィたちの言動や持ち上げはほぼ気にならず。「人の世の常識にとらわれない、人ならぬ身の王妃様(+その相棒)」の破天荒さと、そんな彼らとなんだかんだ言いながら親しく付き合っているデルフィニアの人々のやりとりが懐かしく楽しかったです。(「紅蓮の夢」はデルフィニアでの日常パートが少な目でしたからね) 個人的に好きな話は、描き下ろしのリィと魔法街のおばばの会話。他と比べると地味だけど、落ち着いた雰囲気が良かったなーと思います。