NHKで連続ドラマにもなった人気時代小説シリーズ。4年ぶりに発売となった「特別巻」は、登場人物たちのその後を描いたボーナストラック巻でした。
収録されているのは4編で、各話で焦点が当たるのは種市たち江戸のつる家の面々、小松原とその妻、野江、そして澪と源斎先生。当たり前ですが、シリーズが大団円で終わっても、彼女たちの人生はまだ続いていたわけで。あれからもいろいろあって、でも変わらず元気にやってるんだな、と。個人的に一番ほっとしたのは、種市とりうさんが年齢の割にお元気そうだったことかな。今回、幼い頃の澪と野江を占った易者さんにもお墨付きもらってましたし、まだまだ現役で頑張ってくれそう。あと、成長したつる家の若者組の姿や、小松原の妻・乙緒の屈託を晴らした菓子とその後の会話、野江の又次への想いとそんな彼女がようやっと望み手にしたもの、そして、道に迷うこともあれど互いの務めを尊重し支え合いながら暮らしている澪と源斎先生――どの話も懐かしい人たちの近況を思いがけず知る機会に恵まれたという感じで、「花だより」という表題に相応しい内容でした。
この先もまたいろいろあるだろうけど、みんなしっかり地に足をつけて生きていくんだろうと、そう自然と思えた1冊。読めて良かったです。
作品名 : 花だより みをつくし料理帖 特別巻
著者名 : 高田郁
出版社 : ハルキ文庫(角川春樹事務所)
ISBN : 978-4-75844197-1
発行日 : 2018/9/3