近未来の世界、テロの脅威に晒されている都市・ミリオポリスで戦う少女たちの物語、「テスタメントシュピーゲル」、最終幕の前編。
ちょっと駆け足展開と思うところもありましたが、それも含めて2巻終盤で復活した涼月が、復活した勢いそのままに物語を牽引していったような、そんな印象の1冊でした。彼女たちを取り巻く状況が困難で厳しいことはなにも変わっていないのに、ここに至るまでのように絶望的だ、とはちっとも思わなかったのが面白かったですね。
登場人物的には我らがMPB小隊長・涼月はやはり格好良いなあと惚れ惚れする一方、作中、「何でもかんでも殴って解決する」と評されてるのは的確すぎて笑いました。で、そんな涼月の存在が正しく影響している陽炎と夕霧、そして乙の場面はどんなに追い込まれていても逆転を信じられたし、実際に反撃が成ればテンションが上がりました。また、少し立ち位置の変わった雛はどうなるのかと思っていたら、ここで「先輩」たちと一緒に行動することになるとは……ますます某所就職コースが現実味を帯びてきたような。鳳については下巻での復活を楽しみにしてます、とだけ。あと、特甲猟兵たちにも(それが彼らにとって幸せなことかはさておき)光が届きそうな展開なのもちょっと嬉しかったりする。
敵側に関しては、未だに正体が明かされないムニンとサイクロプスの正体が気になるところ。普通に読んでいるとこのふたりかなーと思う人物は配されているんですが、ひっかけの可能性もあるしなあ。まあ、種明かしを楽しみにしておきます。あ、シャーリーンにはものすごく「ざまあみろ!」と言いたくなりました(笑)
様々な因縁の絡み合ったこの大事件がどんな結末を迎えるのか。少女たちはどんな未来に進むのか。3月発売予定の下巻がとても楽しみです。