只今公開中のホラー映画『残穢』の原作者つながりで本棚から引っ張り出してきました。小野不由美さんの「家」に関わる怪異の話。雑誌『幽』の連載6編をまとめたものということです。
映画化された残穢の他にもゴーストハントや屍鬼等、面白いホラー作品を多数出されている小野さんですが、この作品は同じ怪異を扱った話ではあるものの、それ等とは雰囲気が違う作品でした。この作品で怪異を解決する役割を担っている尾端氏が営繕屋として繕い方を心得ている故、でしょうか。怪異を悪いものとして祓うのではなく、状況によって共生したり受け流したりといった方向で上手く収めていくので、全体的に優しい印象が残ります。それだけではなく、完全に消えたわけではない「疵」に、時に微かな怖さや物悲しさが残るのもまた良し。ちなみに個人的には「奥庭より」と「雨の鈴」が好きです。
雑誌の方では連載が続いているようなので、今から単行本化が楽しみです。