kindle連載に加筆修正の上、上下巻構成で発売されました、テスタメントシュピーゲル2文庫版。連載時に読んでいるので、さらっと感想。
話の展開は、当然ですが大きくは変わらず。ただ、ところどころ表現が変わっていたり文章が増えていたりで、連載時よりもよりわかりやすくなってる印象でした。後半の雛が「彼」を奪取する場面が増えていないかと密かに期待したのですが、それはなくて残念。
鳳・乙・雛、それぞれがそれぞれの形で事件と過去に対峙している状態ですが、乙と雛はスプライトの頃を思えばものすごく成長したなあ、と。でも、乙は日向やピエールといった、ある意味正の方向で導いてくれる相手の影響が大だけど、雛は……何度読んでも、彼女が取り戻した過去の記憶や揺籃状態でみる光景が痛い。でも、水無月や冬真のために怒ることができる彼女は危なっかしい所はあっても良い娘だし、なんとか救済されてほしいと思います。……某所の某人のところで就職するのがベストな気がする。
もうひとり鳳は、敵の標的にされてしまい――徐々に身代わりになっていく記憶と、そんな彼女に向き合う冬真が辛かった。敵のユニットに支配された彼女がどうやって救われるのか。2のプロローグで描かれていた涼月との対峙がとても待ち遠しい。彼女たちだけではなく、水無月・冬真・吹雪の男の子三人組の影での奮闘や、ヘルガや州知事をはじめとする大人たちの戦いもそれぞれ読み応えありました。
ラストは、復活した涼月による突撃開始。絶望的な展開が徐々に覆っていたところで、希望に至る最後のピースが揃ったというか、安心感が半端ない感じ。それにしても、くわえ煙草で言い放った「ダイヤって燃えるんだろ?」は痛快すぎました。
果たして彼女たちの戦いがどんな結末を迎えるのか。彼女たちはどこに向かうのか――夏開始の3の連載がとても楽しみです。