第二次大戦期のインドを舞台にした、世界名作劇場風歴史物語第3巻。ファミ通文庫から講談社文庫に移籍し、8年ぶりの新刊発売です。
これまでよりも、歴史オタク的にとてもとても楽しい内容でした(至福) とりあえず序盤、2巻を読んだ時にひとことも言及がない!とひとり嘆いていたアンベードカル博士が登場してものすごくテンションがあがりました。その他にも、随所でインドの複雑な歴史と制度、そして世界情勢を織り交ぜつつ、あくまで「シャーロットの物語」として読ませるものになっているのが良かったと思います。
歴史オタク的語りを始めるときりがないのでシャーロットの話に視点を移すと。カーリー、あるいは異父弟かもしれない少年との苦い別れから4年。女学院が閉鎖されたのち、インドへの想いを抱きつつオックスフォード大学に進んだシャーロットは、カプールタラ藩国の王子ル・パオンとの出会いをきっかけに、とんでもない方法でインドへ渡ることに――という展開。戦争中のまだ安心できない情勢の中、かつての学友たちとの絆が断たれていたいのは素直に良かったと思いました。ル・パオンは今のところ政治に興味のない人物風に描かれてはいますが、やっぱり何か企んでるんじゃないかというが拭えない……逆に、ほんとうに最後までそれで行ったら感心すると思います、はい。カーリーは出番は少なかったけれど、美味しいところをさらっていくなあ、と。それから今回若干描写が増えたシャーロットの家族。こちらもいろいろとありそうですね。
さて、ラスト付近のあおりから考えて、次はいよいよ……な感じ。既に定まった歴史の中で、シャーロットをはじめとする登場人物たちの想いが、未来がどうなっていくのか。続きが読める日が、とても楽しみです。