『ミレニアムの翼 -320階の守護者と三人の家出人-(全3巻)』[縞田理理/新書館ウィングス文庫]

産業革命によって汚染された大地から逃れるべく、人々は1000層に及ぶ塔を建造、移住した。 塔の生活は5人の発明卿が独占する技術によって支えられ、一方、汚染された大地も長い時間をかけて癒やされつつある世界。 《塔》国家アングリア王国リンデン塔320階の便利屋サイラスは、機械いじりの天才で貴族階級出身らしい美貌の青年ジョニーと出会う。さらには全塔踏破を目指す《田園》出身の青年ナッシュ、暗殺者の凶刃からからくも逃れた王女ラモーナまでもが彼の事務所に転がり込んできて――

 縞田理理さんの、ヴィクトリア調ゴシックファンタジー(公式紹介より)、全3巻で綺麗に完結。

 なんだかんだ言いながら家出人(?)3人の面倒を見ずにいられない世話焼きのサイラス(男やもめ)と、これまでとは違う生活の中で次第に成長していく家出人たち(主にジョニーとラモーナ。ナッシュは……いい意味で変化がなかったな・笑)の擬似家族的な関係が、時に微笑ましく時に楽しく、読んでいて心地よかったです。あと、2巻から登場したジョニーのお父さんが良いキャラしすぎでした(笑)
 話としては、ラモーナを保護したことから、このまま王国を私物化しようとするモールデン伯爵との対決になるんだろうと思っていたら、発明卿を標的にした連続殺人が発生。ナッシュが容疑者となったことから、サイラスたちが事態究明に動くという展開に。塔の秘密に深く関わるこの連続殺人事件の真犯人との対決は、思いの外丸く収まった感がありました。「彼」にとって、「もしかしたらそうだっかたもしれない」ことに気づき、さらにはあの別れの言葉を聞けたことはよかったんだろうなあ。作中でも言われていたとおり、起こした事件は許されないものなんですが、たまに気晴らしで「あの場所」に出かけているのはありかも、などと思いもしました。
 ……で。殺人事件が解決してひと安心する間もなく、今度は「彼」の置き土産から塔の危機と伯爵との対決がはじまることに。伯爵とその息子は同情の余地が全くない、とても下衆くて小物な悪人(褒め言葉)なのもあって、最後はすっきりでした。
 あと、最後に明かされたサイラスの謎。1~2巻のほのめかしである程度予想はしていたので、ああ、なるほどねーそこだったのねーという感じ。本編最後の賑やかな事務所の光景や最後の描きおろし短編で、またすっきりほっこりとしました。

 最初から最後まで、程よい軽さで楽しめた、良いシリーズでした。次回作も楽しみです。

作品名 : ミレニアムの翼 -320階の守護者と三人の家出人- 3
    【 amazon , 紀伊國屋
著者名 : 縞田理理
出版社 : 新書館ウィングス文庫(新書館)
ISBN  : 978-4-403-54201-5
発行日 : 2014/7/9

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