姉の伝手で公家から武士に転身した松平信平(三代将軍家光の義弟)を主役にした時代小説、第3巻。1巻短編集、2巻長編ときて、3巻目となる今回は短編集。今後も順番で進むのかしら、と思ったりした。
内容的には、四谷に住まいを移した信平が、相変わらず飄々と日々を過ごしながら、ふとしたきっかけや縁などから様々な事件に関わっていく――という感じで、やはりテレビの連続時代劇風。肩の力を抜いてサクッと読めて、時に苦い展開もありつつ最後は後味すっきりさわやか。……まぁ正直、人によっては「軽すぎる」と思われるかも。個人的にはこういうエンターテイメントに徹してるのは悪くないよね、と思いますが、そろそろ展開にもう少し捻りが欲しい気はしなくもない。
で、このシリーズの気になるポイントといえば、信平とその妻・松姫の恋の行方なんですが。2巻で微妙に信平が勘違いしてたので、これが変にこじれたりするのかと予想していたんですが、さくっと顔合わせして進展するとか吃驚した。お姉様GJ。あと、密かに信平への心象がかなり良くなってる義父上に笑ってしまった。
今回は加増はされませんでしたが、松姫との関係が深まり、部下(候補)と出会い、また、その人柄を評価して彼を好意的に見ている幕臣からの応援もあり――と、1000石はまだ遠いにしても着々と前に進んでいる信平。次ぐらいで大事件に関わってどーんと加増されてもいい気がしなくもない。ともあれ、続きを楽しみにしてます。