『乙女ゲーの攻略対象になりました…。』[秋目人/電撃文庫]

 昨年メディアワークス文庫から発売された『騙王』の作者さんの新作。『騙王』が普通に面白かったのと、乙女ゲーマー的にどんな内容なのかと気になったので購入。

 ざっくりしたあらすじは、何の因果か乙女ゲームの世界に放り込まれた主人公。前世?の記憶によれば自分が該当するキャラは個別ルートに入ると高確率で死亡してしまう!というわけで、ヒロインのアタックをなんとか回避しようと奮闘する主人公・湊と彼にアタックを仕掛けてくる美少女たちの繰り広げる一風変わったラブコメディ、という感じ。
 とりあえず最初に一言言うなら、乙女ゲーな感じは全くしなかったです。なんだろう、もしもこのゲームが実在していたら普通に面白そうかなぁとは思うんですが……攻略対象視点(しかもメタ的な知識持ち)である上に主人公以外の男キャラの影が薄すぎたりで乙女ゲームな雰囲気がないよ!という。加えて、主人公から見てメインヒロイン(メタ視点でいうプレイヤーキャラ)のライバルな女の子も数名登場してくるんですが、その全員がなんだかんだと主人公と親しくなっていくんで(一応地の文で他の男キャラとも親密度あがってるっぽい描写はあるけどそれらしいところは作中では見えない)、それ普通にギャルゲーですよね?と言いたくなった。ライバルキャラが存在するゲームとしては、とき○モGS(初代&2)やア○ジェあたりがぱっと思いつくけど、各ヒロインにスタート時点でお目当てキャラがいたり完璧ランダムだったりだしなー。どうでもいいけど、GSで狙ってるキャラ以外の男キャラがアタック掛けてくるのが心底うざくて、ライバルキャラの恋を成就させることはできないのか!とたまにコントローラー投げてたぐらいの人間としては、全員主人公狙ってくるってもう悪夢としか思えなかった……。
 そんなわけで乙女ゲーである必然性は残念ながら個人的には全く感じられなかったのですが、毛色の変わった学園ラブコメと思えば普通に面白かったかなー。つーか、下手に乙女ゲー世界にしなくても、いっそ主人公がヒロインから逃げまくるのは、未来予知能力があるからとかでもよかったんじゃ……と思ったりもした。それはそれでベタだけど。

 次巻はすでに執筆中らしいですが、どんな展開になるのやら。男キャラももう少し頑張ってくれるといいなー。あと、主人公君は生存模索するのは仕方ないとしてもう少しそれらしいイベントがあるといいなぁ。

作品名 : 乙女ゲーの攻略対象になりました…。
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著者名 : 秋目人
出版社 : 電撃文庫(メディアワークス)
ISBN  : 978-4-04-870880-7
発行日 : 2012/1/7

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