『夢の上(全3巻)』[多崎礼/中央公論新社・C☆NOVELS FANTASIA]

 『煌夜祭』、「〈本の姫〉は謳う」に続く、多崎さんの2年ぶりの新作。話を要約すれば、「サマーア」という名の神を崇めるとある国の変革の物語、となるでしょうか。

 いやー、今回も素敵な物語でした。6部構成で語られる事象は一つのもので、それ自体はストレートな印象なのですが、それに関わった6人の視点から語られることで物語が厚みを帯びていく結果に。おかげで読みながら、「おお、ここではこんなことが」とか「ああ、このときこの人はこんな気持ちだったのか……」と楽しむことができました。……まぁ、どうしても同じような場面を繰り返し読むことになってしまうので、冗長に感じることもありましたが。
 ちなみに私が好きなのは、「紅輝晶」と「闇輝晶」。特に、「闇輝晶」はこれまでのお話で語られなかった部分が多かったり、立ち位置的にこれまであまり表に出てこなかった人物の視点ということも手伝って、興味深くもありました。それを差し引いても、この人の生き様――自分の抱いた夢・理想・目標を成し遂げるべく、最期の最期まで己の信じた道を真っ直ぐに進んでいく姿は、切なくも格好良かった。ラスト、彼の最後に手向けられた言葉と締めくくりの言葉が、じわっとくる。あとは、幕間のイラストも巧いなぁ、とか、タイトルの意味……!とか。

 あとがきによれば、次回作は漢字を使ったファンタジーということで。気長に発売を楽しみに待ちたいと思います。

作品名 : 夢の上 3-光輝晶・闇輝晶
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著者名 : 多崎礼
出版社 : C☆NOVELS FANTASIA(中央公論新社)
ISBN  : 978-4-12-501152-3
発行日 : 2011/5/25

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