第1回台湾角川ライトノベル大賞の金賞受賞作の翻訳。く、翻訳されると知ってたら、台湾旅行に行ったときに語学の勉強兼ねて原本入手してきたのに……!(←いろいろと間違ってます)
えーと、そんなアホな呟きはさておいて。お話はといえば、かつて神殺しが行われた結果輪廻が失われてしまった世界で、事故によって記憶を失くした少女・幽冥が、否応なく世界の理に迫っていく話、とでも言っておきましょうか。読後の感想は、鬱というわけじゃないんだけど切ない、というのもちょっと違うような……。この結末のあとにまた繰り返されるのかもしれない未来に思いをはせると、ちょっと遠い目をしたくなるというか、そんな感じ。
ただ、登場人物のほとんどが報われなさすぎ(主観)なので、キャラに感情移入して読むときついかもなぁ、と思いました。いや、作者さんはキャラ云々というよりもこの世界を語りたかったんだろうなぁ、というのはよく分かるんですけどね? でも、○○エンドと言ってもほぼ間違いでないというのは、特にレーベルがビーンズだし、と油断してたりらぶらぶ恋愛要素を期待しているとちょっとキツイんじゃないかと思うわけです。
私はこういうのも嫌いじゃないんで、終幕に至るまでの過程やなんやかんやを「ほー、ここでそうするのか」という感じでいろいろ興味深く読みましたが。……つーかよく考えたら、ある意味ベタなお話やなぁと思いつつ、(多分)文化圏の違いからくる差異とかそういう個所を楽しんで読んでたかもしれない……
まぁでも、翻訳文も普通に読みやすくてなかなか良かったです。今後も台湾の作品が翻訳されるのかなーと思うと、少し楽しみ。向こうに旅行に行ったとき、面白そうなのいくつか買おうか買うまいか迷ってたのがあるんですよねー。……あああと、角川さんはできれば古龍翻訳も引き受けてくれませんか。前に『多情剣客無情剣』訳してくれた縁で是非(血涙)