中世ヨーロッパ風異世界を舞台に諜報員として仕込まれた女性が様々な陰謀・思惑の狭間で活躍するファンタジー小説、「クシエル」シリーズ第3部。今回は、展開的に神話的なあれこれを意識することが多かったです。
エピソードとしては「使徒」全エピソード終了から10年後。行方不明となった宿敵メリザンドの息子イムリール――テールダンシュ王位継承権を持つ子供の行方と、孤島に囚われたままの旧友・ヒアシンスを救うための情報を求め、フェードルとジョスランは再び旅立つことに……という導入。この第3部でフェードル編が終了することになるだけあって、これまでの集大成というか。全体的にそんな印象が強かったです。内容的にも2巻目はきつかったけれど、そこを乗り越えたらなんだかんだで大団円へ向かって動いていったし。まぁなにはともあれ、共に苦難を乗り越えたフェードルとジョスラン、そしてイムリの関係や、メリザンドとの決着(というかなんというか)、そしてヒアシンスの解放と……など、これまでシリーズを読んできた身としては感慨深いものがありました。……最後に、地味にイサンドル様が好きだ!と主張しておいてみる。(主張に深い意味は全くない)
これでフェードル編の幕は降り、物語的にも区切りはついているのですが、本国ではまだシリーズは続いていて、第4部からはイムリールが主役になっているとのこと。今のところ以降の翻訳は未定のようですが、そのうち読めると良いなぁ。