召しませ時代小説!:物の怪たちも町暮らし編。

なんとなく気が向いて、気軽に読めて面白い時代小説を適当に紹介してみる企画を実施してみる。
思いつくまま無節操にーというのもそれはそれでありかと思いましたが、収拾つかなくなりそうなのでお題設定。ぱっと思いついたのが「妖怪もの、ただしほのぼの(?)日常系に限る。」だったのでそれでいってみる(適当) では、さっそくいってみよー。

「しゃばげ」[畠中恵/新潮文庫]
妖怪を見る能力を持つ大店の跡取り息子(超虚弱)と、お付きのにいや二人(どっちも妖怪)、そして周囲の人間・妖怪の繰り広げる推理帖(?)
今回設定したお題的には、もはや言わずとしれた定番ですなー。虚弱体質だけど根はしっかりしてる若旦那と、その若旦那を甘やかしまくる妖怪たちのドタバタほのぼのなやりとりは楽しいです。個人的には若旦那よりも、幼馴染や異母兄が好きだったりする。(ちなみにこのシリーズとは別に『つくもがみ貸します』という作品もあり。)

『一鬼夜行』[小松エメル/ポプラ文庫ピュアフル]
江戸幕府瓦解から5年。強面で人間不信の商人・喜蔵の家の庭に、ある夜「百鬼夜行からはぐれた鬼」と自称する小生意気な少年・小春が落ちてきた。いやいやながらも成り行きで同居することになった喜蔵と小春は、たびたび妖怪絡みの奇妙な事件に関わることに……。
第6回ジャイブ小説大賞受賞作の人情妖怪譚。作者さんはこれが本当に処女作になるらしいですが、普通に上手いなーと思った。たびたび事件は起きるものの、「人情妖怪譚」の売り文句が示す通り、登場人物の内面や関係の変化が主軸になってるかな。もう少し描写が欲しいなぁと思う部分もありましたが、様々な出来事に一緒に関わっていく過程で生じる喜蔵と小春の絆や、取り巻く環境の変化などなど、なかなか大きな破綻なく描かれていて良かったです。ラストシーンも素敵。……ところで、深雪ちゃんと某登場人物をメインにした外伝はありませんかそうですか。

『もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸へ』[高橋由太/宝島社文庫]
故郷を追われたのち、ひょんな縁から居着いた献残屋の手代として働く周吉は、オサキに憑かれたオサキモチ。口が悪く食い意地の張ったオサキにからかわれながら、平穏な日々を過ごしていたが、店の周囲で奇妙な事件が連続して……。
こちらも新人さんの作品。第8回このミス大賞最終候補作品(加筆)だそうです。正直、文章表現やら構成やらが拙いなぁとは思うのですが、それなりに味があるキャラクターたちのやりとりは楽しく、話もさっくり読めて悪くはない。最終的には、まぁなかなか楽しかったかな、という印象。とりあえず、周吉とオサキの掛け合いはほどよく気が抜けて良かった。あと、蜘蛛ノ介(新陰流皆伝の老侍)が物騒かつ最強で大変良いキャラだったと思います。

『恋ヶ淵 百夜迷宮』[たつみや章/角川ビーンズ文庫]
札差・伊勢倉屋の手代に先頃昇格したばかりの竹二は、ある日主人から若旦那の松太郎の目付け役を命じられる。この若旦那、歌舞伎役者と見まがう美男子ながら、どうにも奇矯な言行が目立つのが玉に瑕。ともあれ、主につき従う中、「鯉ヶ淵の怪」と呼ばれる事件に首を突っ込むことになり……。
ビーンズ文庫のわりと初期に発売された作品。一回雑誌にも短編掲載されて、もしやシリーズ化?とwktkしたのもとても懐かしい思い出です……ええ、儚い夢でしたともorz
お話としては、あらぬ嫌疑をかけられた馴染みの屋台蕎麦屋を助けるために若旦那や竹二があれこれ奔走する話。登場人物だけでなく、時代考証もしっかりしてるため、なんというか、地に足がついてる感じがとても良い。お話としてはわりと素直な展開となっていますが、それはそれとして松竹梅トリオやその他のドタバタに加えて、江戸の雰囲気を楽しめる佳作。

「鬼ヶ辻にあやかしあり」[廣嶋玲子/ポプラポケット文庫]
火付けの濡れ衣を着せられ、数日後には死罪となってしまう兄を救うために少女が辿りついたのは、強大な力を持つ妖・白蜜姫だった。人の願いを叶える白蜜姫の目的とは?
児童向けではありますが、油断しているとさらっと黒い描写が差し挟まれたりして、なかなかどうして侮りがたい作品。1~2巻は白蜜姫の趣味と実益を兼ねた人助け(?)話で、3巻目は前2作とはちょっと毛色の違うお話。個人的には2巻目が大好きです。「数日後」の一言とか、地味にえげつなくて実に良いよね(鬼) あととりあえず、白蜜姫は良い人外ロリですと主張しておきたいところ。

『琥珀枕』[森福都/光文社文庫]
昔々、中国は東海郡藍陵県。県令の子息・趙昭之は、すっぽんの化身である徐庚先生の下で勉学に勤しんでいた。「市井を観察し、世間を学ぶ」という先生の教育方針のもと、昭之は様々な事件を垣間見ることに……。
最後は日本から大陸に目を移して、志怪+公案小説なこちら。舞台背景・風土の違いか、先に挙げた作品群よりかーなりドライな感がありますが、『柳斉誌異』とかが好きならニヤニヤ出来ると思われます。

気が向いたらまた別のお題設定して書くかもー。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください