『身代わり伯爵の花嫁修業I 消えた結婚契約書』[清家未森/角川ビーンズ文庫]

 庶民派少女ミレーユと、周囲の個性的な面々が繰り広げる王道ラブコメファンタジー、第12巻。この巻から新章「花嫁修業編」突入。雰囲気的には、シリアス寄りだったシアラン奪還編からアルテマリス編のコメディ寄りに戻ったかな。

 ……序盤から砂吐くかと思った(真顔) なんだこの急激な糖分&床ローリング度急上昇は……と思う程度に、ようやく両想いになったミレーユとリヒャルトのいちゃいちゃが破壊力強かったです。そんな甘々カップルと間近に接するために塩を常備するジャック隊長の苦労には大笑……もとい、涙を誘われますね。その他、新旧キャラも絶好調でした。とりあえずフレッドはいつでもどこでもフレッドだなぁ……と思った。それから、キリル君に関してはおおよその読者の予想がそうだと思いますが、とても残念な勘違い(もしくは妨害をされた)という可能性が高そうかなぁ、と。
 お話的には、国を取り戻して一件落着、とはいかず。いろいろと頭の痛い問題が持ち上がって……な展開。正直なところ、「『身代わり伯爵の誓約』で大きな問題にはある程度終止符が打たれたしもうシリーズ大団円でいいんじゃないかなー」と思っていたりしたのですけれど……あそこで「めでたしめでたし」で終わらなかった以上、必然的に残った問題は解決していかないといけないわけで。まぁ、そんなこんなで発生するトラブルに対してミレーユ(+周囲の人間)が走りまわるドタバタ劇で、普通に面白かったというか。話を無理矢理続けた感もなく、これまでどおりの感覚で読めたのが一番うれしかったですね。(いや、よくあるじゃないですかそういうの……)

 今回の問題は無事クリアしたものの、波乱の種はすでにいくつか撒かれているようすで。これから先、どういう展開になるのかが気になるところです。

作品名 : 身代わり伯爵の花嫁修業I 消えた結婚契約書
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著者名 : 清家未森
出版社 : 角川ビーンズ文庫(角川書店)
ISBN  : 978-4-04-452412-8
発行日 : 2010/6/1

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