『Mistborn: The Well of Ascension』、邦訳版第2巻。いよいよルサデルに役者が揃い、物語が本格的に動き出します。
ああもう、面白いなぁ! 敵対勢力に包囲されているというただでさえ苦しい状況に加え、様々な問題が持ち上がってエレンドは窮地に追いやられることになるのですが、ただただ状況に流されて追い込まれるのではなく、ティンドウィルの指南や諸々の経験から「王」としての成長していく様子に思わず声援を送りたくなります。もっとも、人間生まれ持った性質はそう簡単に変えられないわけで。理想家で誠実なエレンドは間違いなく良い人間なんだけど、それだけにこの状況でそれは駄目だろ!と思うような行動も多々あって、ついには……。それでもそこで、全てが終わったと諦めてしまわず、先に進もうと行動する姿は、かつての彼からは想像できないよなぁ……今巻最後の彼の行動は、なんだか感慨深かった。これはもう、3巻での巻き返しに期待せざるを得ない。エレンド頑張れ。
一方、ヴィンもまた大忙しで。予言との符合に不安を覚えたりしながらも、エレンドのために奮闘する彼女は、実に健気でかわいい上に格好良い。それにしても、仲間たちの「誰か」が敵の密偵に取って代わられているという事実を理解しながら、「誰もそうであってほしくない」と言う姿は、「ミストボーン」初期からは想像もできなかったよね……と少ししみじみした。終盤には、エレンドとの関係に微妙な影が生じてしまいましたが、これに関しては大丈夫と信じてる。根拠はなにもないけど! とりあえずエレンド頑張れ(二回目)
そのほかでは、ヴィンとオレ=スールとの関係が段々と変わっていくのにとてもニヤニヤした。なんだかんだでヴィンに絆されていってるっぽいわんこ捻くれかわいいよわんこ。あと、前巻からヴィンにちょっかいをかけてくるゼインは、思っていたよりも良いキャラで。ヴィンの相手はエレンド以外認めませんが(をい)、このあと異母兄弟が力を合わせるような展開があると嬉しいんだけどなぁ……。
解説によればこのあとにはまた怒涛の展開が待っているようで。混迷を深める状況を、ヴィンやエレンドはどう切り抜けていくのか。6月の3巻発売が待ち遠しい限りです。