大坂夏の陣から八年。それぞれの立場や想いをもって若者たちが大坂の街を駆ける青春時代小説第2巻。
1巻終盤の爆弾発言&それに伴う疑惑はもうちょっと引っ張るかと思っていたんですが、なんだか案外さくっと一段落した印象。まぁ、全面的にすっきりしたわけではなく、それはそれでまた別の疑問が出てくるわけですが……まぁ、このあたりは追々明かされていくことなんでしょうねぇ。そちらだけではなく、物語の内容的にも「第一部完!」な感じで思わず邪推してしまいましたが、作者さんの公式ブログによると以降の予定もちゃんとあるようなので一安心。他のシリーズもあるのでペースは落ちるそうですが、続きが読めるならそれで良いと思う(未完シリーズの山を眺めつつ)
登場人物絡みでは、茜がいろいろと悩み考えた結果、ちょこっと成長して好感度アップした。自分の中で結論を得て余裕ができていたのは大きいだろうけど、それでも終盤の天秀尼との会話は、1巻の彼女だったら出てこないだろうしな……。あと、お龍が第二主人公的な位置で物語に関わってきたのは少し意外。いや、まさか1巻限りの出番だとは思ってなかったけど、ここまでとは。こうなると、茜との関係も含めて彼女の今後がどうなっていくのかも楽しみ。その他、やっぱり「在天」関係の人だった甲斐と大助の邂逅・一戦を経ての意外な事の成り行きとか、切支丹絡みのあれこれとか、新興商人である鴻池家(お龍の実家)に絡んだ思惑とか、さらりと読めるわりにネタはしっかり詰まっていて面白かった。超常的な要素がほとんどない、こういう真面目な伝奇活劇も良いものです。
さて、茜たちと甲斐は紆余曲折の末当面は行動を共にすることになったようですが……さて、この先は話をどう展開していくのか。未だ残る数多の謎、そして2人の少女の仄かな想いの行方が気になるところです。