2009年・私的お気に入りの本(一般小説編)。

続いて一般小説編。こちらは(1)今年発売された本、(2)復刊や文庫化等の場合、以前に読んだ作品は除外する、という条件で選んでます。

『天地明察』[冲方丁/角川書店]
江戸時代、改暦に挑んだ渋川春海の半生を描いた作品。多くの人生や功績、そして願いを託され、天と地を相手に繰り広げた一世一代の勝負。「シュピーゲル」や「マルドゥック」のような見た目に激しいアクションはありませんが、内に秘められた熱は負けていない。まさに圧巻。

『ネル』[遠藤徹/早川書房・想像力の文学]
何気なく買ったらとても私ホイホイだった一冊。とても端的に言うと、『虚無女王』によって囚われた両親の魂を救うため、友人とともに旅に出た少年ネルの物語。私が喰いついた部分は物語最大の仕掛けなので沈黙しておく。とりあえず、読み終わったら、バタンと思いっきり本を閉じましょう。
……どうでもいいけど、登場人物を描写から思い描くと、結構アレだったりするのは、作者の人がホラー系出身ということがあるのかなぁ、と思うなどした。

『ミストボーン―霧の落とし子』[ブランドン・サンダースン/ハヤカワ文庫FT]2009.11.08 感想
被支配階級の民スカーで構成された盗賊団が、不死の王が治める帝国に挑むファンタジー。目立たぬように自分を殺して生きてきた少女ヴィンが、「合金術」の修行や情報収集のために地方貴族の娘に扮して社交界に入り込んだりと、様々な経験を経てしなやかに成長していく姿がとても良い。某マトリックスを彷彿とさせるアクションシーンも見物です。……で、第2部と第3部の翻訳はまだですか?

『芙蓉千里』[須賀しのぶ/角川書店]2009.07.04 感想
明治時代、人買いに自分を売り込んで哈爾濱に渡った少女・フミの波乱万丈記。フミの物語だけでなく、女郎屋「酔芙蓉」に身を置く、女郎たちそれぞれの生き様が印象深かったです。ちなみに現在携帯サイトで第二部連載中。どんな展開になるのか、ドキドキです。

『花宵道中』[宮木あや子/新潮文庫]2009.09.10 感想
Twitterでまろんさんが布教されてて興味をもってたところに、タイミングよく文庫化されたので読んでみた1冊。江戸末期の新吉原で生きる遊女たちの、時に切なく時に残酷な運命を綴った連作短編。直接的な描写よりも、自由のきかない立場で狂おしいほどに相手を恋い求める女たちの心情描写が切なくて。匂いたつような雰囲気に惹きこまれました。

次点は『クシエルの矢』(ジャクリーン・ケアリー)2009.11.15 感想『三悪人』(田牧大和)『再びのぶたぶた』(矢崎存美)2009.12.16 感想
「クシエルの矢」は、諜報員としての技術を仕込まれたヒロイン(生まれついてのドM体質)が、国内外の権力闘争・謀略などに絡んでいくファンタジー。波乱万丈ジェットコースターな展開が素敵。『三悪人』は、ある寺院で起きた火災をきっかけに、遠山金四郎・鳥居耀蔵・水野忠邦の三人(水野以外の二人はまだ公職についていない)が繰り広げる化かし合い。適度な長さでさっくり読めて、かつなかなかに面白い時代小説でした。ぶたぶたさんは年に一度のなごみです。
最初の条件設定を外せば、文庫版『獣の奏者 闘蛇編』&『獣の奏者 王獣編』や軽装版『天と地の守り人 第3部』(上橋菜穂子)は素直に良い作品でオススメです。あと、山風信者としては徳間文庫で復刊された『叛旗兵』もこっそりオススメしておきたいところ。

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