「パラケルススの娘」最終章・中編。あとがきでも明言されていますが、次巻でシリーズ完結とのことです。
読了後の第一声は「またなんという鬼なところで切りますかっ!」だった。うわーん、なんで銃姫みたいに同時刊行とか2ヶ月連続刊行じゃないんだー!
まぁそんな衝撃のヒキとなったこの巻ですが、内容自体は終盤まで大きく動かず。永きにわたる悲願――もしくは妄執を果たさんとする「魔術師シモン」の策動、シモンの手に落ちながらも自分のできること・なすべきことをなし遂げるべく動く遼太郎、姿を消したクリスティーナと遼太郎をに繋がる手掛かりを必死でつかもうとする「家族」たち、そして葛藤するクリスティーナ……と、それぞれの姿が丁寧に描かれていきます。
中でも印象が強かったのは、遼太郎の「お説教」ですね。彼が倫敦で過ごした時間や守りたいと思っている多くのものを背負っての言葉の数々には、「ああ、本当に彼は精神的に強くなったなぁ」と改めて思いました。……しかし、シモンを一刀両断した時は思わず吹きだした。いや、確かに要点をまとめちゃえばそうなんだけど!みたいな感じで。その他では、バ(略)ことアレックスが少し成長したり、リース警部と霧月という意外な組み合わせが発生したり。事態は全く楽観できない状況ながら、細々した部分が興味深かったり楽しかったりした。あ、あと冒頭にあった多華の「夢でのやりとり」にちょっとしんみり。
終盤には、ついにシモンの術式が発動。相手が圧倒的に優位な立ち位置を確保している中でレギュラー陣がそれぞれに奮戦する一方、ついに動いたクリスティーナの意思は……!というところで以下次巻という、なんとも凶悪なヒキ。公式サイトによると現在最終巻執筆中とのことですが、早く続きが読みたくて仕方がありません。皆が幸せに笑える結末になりますように!