瑞山いつきさんの新シリーズ。魔王にかけられた若返りの呪いを解く術を求めて旅立った姫君と護衛の騎士、忠誠心の篤い侍女の繰り広げる物語。
読後の第一感想が「……この先魔王ルートはありですか?」だった私は何かが間違っているような気がしなくもない。いや、ブランカ(姫君)とセロ(護衛の騎士)の自分たちの身分を弁えているが故の切ない想いとかも大変良かったのですが、それを上回る勢いで魔王がキャラ的に気にいってしまって。
えーと、まぁそれはさておき。お話としては前述したとおりに身分差恋愛要素が盛り込まれ、マギよりも糖度高めでスタート。主人公のブランカは、聡明で気丈で、自分の立場を忘れていないあたりが好印象でした。そんな彼女の幼馴染で、護衛でもあるセロは基本的に不遜なキャラではありますが、時折ブランカへの想いが隠しきれずに滲みでたりするところにとてもニヤニヤ。あと、姫様大事でセロを目の敵にしているリリアナも良い味出してます。そして、最初は普通の敵役かと思われた魔王が実に意外な性格だった。孤独の中で、伴侶を求める彼の想いも切ない……基本、ごーいんぐまいうぇいというかわがままというか子供っぽいというかだけど。
ラストは思いっきり「次巻へ続く」。ブランカの解呪は叶うのか、恋愛模様はどうなるのか、そして予想以上に黒かった某人の今後の暗躍等、続きがなかなかに楽しみなシリーズになりそうです。
作品名 : 白と黒のバイレ 白き、時の流れにのせて
著者名 : 瑞山いつき
出版社 : 角川ビーンズ文庫(角川書店)
ISBN : 978-4-04-449717-0
発行日 : 2009/12/1