『カルドセプト』というゲームの設定を元にした作品で、6年前に発売された「カルドセプト創伝」のリライト版。要約すると、それぞれの事情で人間として歪な在り方となっていた少年少女が、互いと出会い交流する中で過去の「傷」を直視し受け止め、新たに前に進みだすまでの話、という感じでしょうか。
細かい部分で結構修正が入っているものの、正統派のボーイ・ミーツ・ガールという印象は旧版を読んだときとあまり変わらず。「当時」の冲方さんと「今」の冲方さんの表現の違いというか、そういう部分が如実に見えるのがなかなか興味深かったです。
あと、展開は変更無しで表現や台詞だけが修正されているのかなーと思いながら読んでいたので、下巻でのとある変更はちょっと意外でした。もう一度読み直して、なるほどそういう具合に話を持っていってるなぁと納得しましたが。まさかそこは変更しないだろうと思っていた部分の変更だったので、あっさり読み流してました。うーん、修行が足りない。
終幕は旧版とほとんど同じものでしたが、あのいかにもまだこの物語は続きます!というエピローグが削られているということは、やはり続編は難しいのかなぁ……。新装版で憎みきれない敵役というかライバル(?)的な存在にもなりそうなあの人とか、旅の一行に加わったあの人とかもいることですし、ここで終わるというのはなんとも勿体無い。世界を揺るがす「嵐」にリェロンとアーティがどのように関わっていくのか、いつかこの先の話が読めるといいなぁとこっそり期待しておきます。