過去視の力を持つ病弱中年官僚が(全く乗り気ではないのに)様々な問題に挑むファンタジー、「翼の帰る処」第2章。
北嶺の格上げに伴い皇女も王となりただでさえ気苦労が増えたところで、とどめが皇女の「お願い」と皇帝の「嫌がらせ」の相乗効果による自身も貴族の身分(それも帝国の中ではかなり格上)を得てしまったヤエトが不憫で不憫で笑えました。しかし、隠居の夢が遠ざかったことで不貞腐れて手を抜いたりせず、文句を言ったり許容量超えて倒れたりしながらも仕事はきっちりかっちりやり遂げるヤエトはいろんな意味で損な性分&苦労人だなぁと思いました。まぁ、そういう姿が他人の信頼や好意を得ることにもつながっていくので結果オーライ……といっていいのかどうなのか微妙に悩むところではあります。ヤエト的にそれが嬉しいかどうかは全く別問題だし。全く、天然人たらしは辛いね(笑)
そんな感じで様々な難題を前に奔走するはめになるヤエトや、前エピソード同様、個性的な登場人物との掛け合いを気楽に楽しむ一方で、今回の話では静かに激化していく帝国内部の後継者争いの趨勢にハラハラしました。初登場となった第二皇子は今のところ、味方というほど近くはなく、敵というほど遠くもなしという感じですが……それだけに、この先どのような関係になっていくのか楽しみだなーと思います。勿論、他の皇子たちも登場が楽しみです。
それから、もう一つ気になるのは予言の存在か。こちらの問題は成就を阻まねば、ということは分かるものの具体的な方策はと聞かれるとどうにもつかみどころがないという厄介な代物ですが、果たしてヤエト達はどのように対処していくことになるのか気になるところ。……ところで、ヤエトの過去視でちらりと姿が見えた妖魔の王様と楽人のコンビにニヤニヤしたのは私だけじゃないよね?
さて。とりあえず一難は去ったものの、帝国の後継争いや恩寵の力が増す世界の行く末等が何とかならないことにはこの先も難問が生み出されるのは確実なわけで。生に対する執着を少しは持つようになったヤエトですが、彼は果たして無事に隠居できるのか(笑) それも含めて、この物語の行く末がとても楽しみです。