須賀さんの「アンゲルゼ」補完本&高殿さんの「そのとき」&「プリンセスハーツ」本目当てで夏コミにこっそり参加する計画を立てている今日この頃。
deltazuluさんも参加されるらしいということで、せっかくの機会だから何か本を押しつけ……もとい、布教してみたいなーと思ったのでいそいそと詰め合わせてみた。
今のところ内訳はこんな感じ。これ明らかに続いてるよ!な作品が1つしかないという我ながらとても親切な仕様です。
『死が二人を分かつまで1』
明らかに続いてるよ!な作品。しかし、昨年完結したばかりなので入手難易度は高くないし、ボリューム的にも全4巻なので手は出しやすいはず。
吸血鬼と狩人。その永遠の相克に少なからず関わることになった人々の物語……かな?
個人的に見どころだと思うのは、戦力的にはゼロに等しい登場人物その一の精神的強さ(笑) 1巻の時点でもその片鱗は窺えますが、最終巻付近ではもはや彼女が全ての問題にけりをつけても驚くまい……と達観してしまった程度の最強加減。彼女が大好きなのに、気づいてもらえない登場人物約1名がとても不憫で笑えます。
あと個人的には、名前を捨てて恋する男を永遠の苦しみから解放したいと願う一途な女性と、気まぐれで彼女と契約した吸血鬼の関係がとてもツボだった。関係の進展とかなさそうだよなーと思いつつ読んでいたので、最終巻は思いっきり床ローリングするはめになった。
『パラサイトムーン 風見鳥の巣』(積本の中から発掘中ということで削除)
シリーズは今のところ6巻まで刊行中。しかし1~2巻は単独でも読める仕様なので、まぁいいやと判断して詰め合わせ。
やたらとかわいい系なイラストに反して、内容は一言で言うと現代日本を舞台にしたクトゥルー風味伝奇。今でもしつこく、イラスト変えて新装版出してくれないかと思ってる……せめて異形を異形らしく描いてほしいんだ……。
1巻は、休みを利用して会ったことのない祖父の暮らす離島を訪れた少年少女が体験した常軌を逸した事件、みたいなノリ。電撃文庫なのでバトルもあります。それにしても、今読み返すと渡瀬さんは本当に幼馴染が好きですねと微笑ましい気分になった。
ちなみに、現在シリーズ刊行中の「輪環の魔術師」と設定面でリンク多数。同じ神群でも微妙に描写が異なっていたりとか、共通する用語がポロリと出てきたりとかするので両方読んでいるとニヤニヤ出来ます。
『女神の刻印1 予言の守護者』&『女神の刻印2 永遠の誓い』
シリーズ4巻刊行したところで中断中という、涙なしに語れないシリーズ。でるたさん樹川作品好きっぽいので混ぜてみた。
1~2巻でエピソード的にも一区切り付いているから大丈夫だよねーと判断して以下略。
未だ神の息吹が色濃く、幻獣や精霊も存在する世界。海の獣と領主の娘に起きた悲劇はすでに遠く。獣は人に、一つの魂は二つに――。
孤児の女剣士が、肉親の手掛かりを求めて訪れた町で陰謀劇に巻き込まれ、という展開。基本シリアス。
男勝りで男前な女剣士と、どうにも怪しい謎の青年術師(元神官)の息のあった掛け合いにニヤニヤする。女剣士に対して複雑な事情から距離を掴みかねているような、しかしその実「既にベタ惚れだこの人……!」な言動にさらにニヤニヤ。その一方で、陰謀劇の首魁が見せる陰湿さ・狂気はちょっと強烈。その強烈な相手に何度打ちのめされて、それでも自我を保っていたもう一人のヒロインは、もう一人と比べるとそれはあれだろうけど、でもやっぱりそうやわな娘さんじゃないよなーとしみじみ思う。
『邪眼』
シリーズは全5巻。しかし基本的に一話完結エピソードなので1巻だけも問題なしと以下略。
(あと、SD文庫から出した作品がアレだったのでもはや地雷作家との評価が定着してそうですが、SF文庫時代のはどういう感想になるだろうという個人的興味)
どんな事情でか悪魔を相棒とした連中の繰り広げるオカルトサスペンスというか異能バトルというか。敵味方、手の内の探り合いや駆け引きが楽しい。
人間と悪魔だけでなく、人間同士でもあくまでビジネスライクに、という感じのドライな雰囲気とどこか醒めた視点が良い味出してます。
『雪燃花』
同じ作家さんの『崔風華伝』を先日読んでらっしゃったので、こっちも是非どうぞと以下略。
優しい兄王への思慕、可憐な妹姫への愛憎。王女として扱われながら王家の血を引いていないという事実。例えば誰が積極的に悪かったわけでもないのに、全てに追い詰められ、壊れていかざるを得なかったある王女の悲劇。ハッピーエンド?なにそれおいしいの?と言わんばかりの展開が潔すぎる。
周囲の人間も否応なく道連れにして破滅の道を進んでいく主人公が最期に得た幸せは何だったのか……淡々と悲惨な話。
『エドの舞踏会』
山風布教枠その一。忍法帖以外も面白いよーと主張するために明治ものから以下略。
自身も時代の荒波にに翻弄されながら、新時代を切り開いていく夫に連れ添う婦人たち。花柳界に身を置いていた婦人も少なくないが、それぞれの立ち居振る舞いが実に格好よくて惚れ惚れする。
一方、その連れ合いである元勲たちは、教科書に載ってるような偉業をなしたとはとても思えない、私人としての駄目さ加減・だらしなさ加減に妙な愛嬌を感じたり苦笑いしたりする。
どの作品も単に明るく楽しいだけではなく、時折顔を覗かせる哀切に満ちた想いにぐっとくることもしばしば。派手な仕掛けはないけれど、「山風って女性が好きだよなー」と変な意味じゃなくしみじみ思う、実に味のある作品。
『忍びの卍』
山風布教枠その二。山風自己評価Aな忍法帖の中では入手難易度がわりと高い作品なので以下略。実際、これを最高傑作という人も少なくないにもかかわらず絶版になっているとかいう訳の分からない状態なんですよねー。
徳川幕府三代将軍の御世。伊賀・甲賀・根来の忍び組三派から、最も優れた忍び組を選ぶために行われた公儀忍び組査察。これが思いもよらぬ大騒乱の幕開けに……という展開。メインの登場人物や使われる忍法が絞り込まれているため、それぞれの人となりがより具体的に描かれているのと、一つの忍法から様々な応用が行われたりするのが特徴。
また、山風作品は綿密な計算のうえ、終盤にそれまでの展開をひっくり返してくることが多いのですが、これもその一つといって異論は出ないでしょう。終盤になって明かされる全体図は鳥肌もの。「忍法とはただ忍の一字なり」という言葉が、嫌でも頭の中に残ります。
『風よ。龍に届いているか』
迷宮街好きならこれもオススメーというわけで。ハードカバー上下巻で若干かさばるけどまぁいいかと以下略。
「ウィザードリィ」シリーズの『リルガミンの遺産』をベースにしたノベライズ。同作者の『隣り合わせの灰と青春』の続編と言えなくもない。
世界の滅亡を前に、何を望むのか。突如現れた謎の敵の襲撃を切り抜けながら、戦友を救うために侵入不可能となった迷宮(スケイル)に挑む冒険者たちの物語、と、相当大雑把にまとめるとこんなところでしょうか。それぞれの想いを胸に、命をかけて迷宮に侵入しようとする、あるいは迷宮内部で生き延びるために必死の戦いを続ける冒険者たちの姿は、素直に燃えます。見どころ? 多すぎて、とても絞りきれません。
『バジリスク ~甲賀忍法帖~ DVD-BOX』
山風布教枠その三というか番外編というか。製作会社が原作クラッシャーとして名高い会社にも関わらず、スタッフの惜しみない愛をつぎ込まれ、驚くほど高品質なアニメになったという。G○NZOの本気を見た。
原作→コミックの段階でも情の面の描写が増えていましたが、アニメはそれをさらに膨らませてきた感じ。オリジナル要素も邪魔にならない程度に、しかし効果的に使われています。あと、OPとEDの歌も良いし……まぁとりあえず、騙されたと思って(掃除しながらでも)第1話を見ると良いよ! そのクオリティがほぼ全編続くとかいうとんでもない出来だから!